僕は純愛がしたいのだ!
@yamibell
第1話
桜が満開に咲いている。春の匂いだ。新入生らしい人がたくさんいて、みんなが楽しそうに会話をしているのが聞こえる。今日は僕の高校デビューの晴れがましい初日だ。天気にも恵まれ、最高の気分だ。入学式は講堂で行われ、最初に校長の話を聞く。長々と何か偉そうに話しているが、それすらも今日の僕にとっては造作に過ぎない。僕は胸を高鳴らせているのだ。何にかって…それは僕の高校での目的にある。入学式が終わり、教室にクラスメートと担任と向かう。みんなの顔は期待に満ちているように思える。教室に着いた。慣れない景色。慣れない雰囲気。その全部が素晴らしい。僕は高校で彼女を作る。これこそが僕の目的だ。中学時代は部活と勉強で青春という青い春なんてものを味わってこなかった。それを僕は味見したいのだ。
担任の指示で自己紹介が始まった。僕にとっては自己紹介はものすごく大事だ。なぜなら、ファーストインプレッションってやつがその人の印象をほぼ決めてしまうらしい。次は僕の番だ。昨日、五時間考えてきた自己紹介をするときが来たか。僕の名前が呼ばれた。思い切って席を立ち、返事をする。「ひゃい」………なんと声が裏返ってしまった。みんなの視線が冷たい。終わった…僕は自分の情けなさに失望した。僕が少しキョドっていると、後ろの席の子が「大丈夫だよ、頑張れ」と声をかけてくれた。彼女の優しさに感謝しつつ、なんとか落ち着き払う。「僕の好きな歌手はオーイシヨシマサです。彼の曲で一番のお気に入りはギフトです。好きなラノベは――ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか。いや、間違っていない――です。今後一年よろしくお願いします」はー、なんとか最後まで言えた。めちゃくちゃ緊張した。あとで後ろの子にお礼言わなくっちゃ。
「さっきは本当にありがとう。マジで助かったよ」「災難だったね。内容良かったよ」僕は花芽さんに感謝をした。この名前は自己紹介で知った名前だ。花芽さんの第一印象はとにかく優しいということだ。しかし、僕はそれ以上に彼女の可愛さに心打たれた。髪型はショートカットで蝶の髪留めをつけている。「その髪飾りかわいいね。めっちゃ似合ってるよ」「えーありがと。これ私のお気に入りなんだよね」僕は率直に思った感想を述べた。
「花芽さん、おはよー。何勉強してるの?」「今日の小テストの勉強だよ」「うーわ、忘れてた、範囲って何ページ?」「二十ページから三十二ページまでだよ」「絶対おわんないじゃん」「ちゃんとやってこないとー」僕は花芽さんのことを可愛いなと思いつつ、他愛のない会話をした。
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