喫茶店ハルカゼ異録
ロロ
第1話:記録保管室より
文書分類:市立アーカイブ第九区分/都市再開発記録(抜粋)
編集番号:T-094/B(開示レベル:第三種機密)
---
> 本文書は、旧市街地の再開発に伴い解体された建築群に関する記録をまとめたものである。
解体対象であった第七区画にて、地下室から回収された複数の箱のうち、一つの箱のみが「行政登録上、存在していなかった」構造物から発見されている。
---
《箱の中にあった主な内容物》
木製の名簿(表紙に『ハルカゼ常連客記録簿』と記載)
汚損したカレンダー(全ての月が「夜○月」と記載)
白黒写真(写っているのは椅子のみ。裏面に「この席は消えた」と記載)
謎の紙片:「言葉を置いてきた者は、戻れない」
---
調査報告には次のような記載がある:
> 「名簿の表紙裏に鉛筆で殴り書きされた文があった」
「それを読んだ調査員は、三名とも報告を拒否し、その後の面談にて同一の証言を行った」
証言内容は以下の通り:
---
> 「椅子が、一つずつ、なくなる夢を見た」
「カウンターに手を伸ばしたら、骨だけだった」
「でも、珈琲の香りがした」
---
調査報告の末尾には、赤インクで一文だけ書かれていた:
> 「この箱は、夜暦を越えてはいけない」
---
【備考】
その後、記録保管室にて保存されていた該当箱は、他の資料と共に再分類中に紛失。
保管室には鍵の破損や侵入記録はなし。
監視カメラには「誰も通っていない廊下」が、3:03に一瞬だけ黒く変色する映像が残されている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます