第9話 魅惑の甘味「マンゴー」
ありがたい事に、毎年、初夏になるとマンゴーをいただくのです。
マンゴーは真ん中に平べったい種があり、まるで魚を三枚におろすように、その種を避けて切っていきます。切り離した部分に包丁で切れ込みを入れ、皮を反らせると、身がブロック状になって非常に食べやすい状態になります。
真ん中の種の周囲の果肉も包丁で綺麗に削ぎ、さらに残った果肉をスプーンで削ぎ落せば、いよいよ今回の主人公、マンゴーの種が手元に残ります。
マンゴーは育てばパキラのような良い観葉植物になると耳にしまして、次にいただいたら育ててみようと思っていたんです。
いつものように種を濡れたキッチンペーパーの上に置いて数日観察。ところが、何の変化も無い。
マンゴーは高温多湿の地域での栽培が盛ん、という事は薄っすらと水に浸けて置いたら良いんじゃないか?
そう思ってキッチンペーパーごと水に浸してみたんです。
……ただ単に黒カビが生えただけでした。
こうして、初年度は大失敗に終わりました。ですが、どうにも諦められない。さすがにパキラまで育たなくても、せめて発芽くらいはさせたい。
そう考えて、育て方を調べてみたんです。するとそこに驚きの記述が。
なんと、私が見ていた物は種では無かったんですよ!
私が見ていたのは種を包む殻だったんです。あの固い殻を剥いた中に種(正式には仁と言った方が良いのでしょうか)があるのだそうです。
自然界ではそのまま地面に置いておいても、その中から発芽する種があったりするのでしょうが、栽培する際は殻を剥いてあげる必要があるのだそうです。
翌年、再度マンゴー栽培にチャレンジいたしました。
身の部分はありがたく頂戴いたしまして、残った白い種、これを乾いたキッチンペーパーで三日ほどくるんで放置。するとキッチンペーパーが種の殻に残った水分を吸収し蒸発させてくれます。キッチンペーパーを取り除くと、湿っていた種の殻はカラカラに乾いていました。
この殻の側面にキッチン鋏で切れ込みを入れて、左右に開いていくと中から乳白色の種がお目見えとなります。形は、小学生の頃にみた「ミジンコ」みたいで少しグロいです。
問題はここから。
調べたサイトには、水耕栽培にしろというサイトと、直接プランターに植えろというサイトがあったんです。でも、目の前の種は一個しかありません。
とりあえず、成長の確認ができるという事で、水耕栽培を選択。
数日後、種の間からにょきにょきと何か細い紐のようなものが伸びてきました。
最初はそれが根だと思っていたんです。でもどんどん上に伸びて行き、小さな葉を付けたんです。
その時点で慌ててプランターの用意をし、種を土に植えました。ところがここでとんでもないアクシデントが! なんと、せっかく伸びた茎が種からぽろっと取れてしまったんです。
当然のようにそこからは何の成長も無く。二年目も大失敗に終わってしまいました。
さらに翌年。
今度は種をそのまま土の中に植えてみました。どうやら、これが正解だったようです。半月ほどは何の変化も無かったのですが、突然芽が出てきたんです。
そこからは、
茶色い小さな葉が生える。
葉が大きくなりながら緑色に変化。
葉が大きくなる。
次の茶色い小さな葉が生える。
これを繰り返して徐々に大きく育ってくれました。
気温の問題なのか、途中で葉が枯れ始め、そこから寒くなると同時に徐々に枯れ始めてしまい、冬になった頃には完全に枯れてしまいました。ですが、少なくともここまで持って行く事はできました。
今年もやってみているのですが、ここまでは極めて順調。後はどうやって越冬させるかだけ。
今回は果物の種を発芽させてみようとお話でした。
次回は今年発生した問題のお話です。次回をお楽しみに。
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