第8話 腐葉土
私は食事の後はお茶が欠かせません。
お茶葉を急須に入れ、お湯を注ぐ。すると茶葉からエキスが染み出て来て、お湯は美味しいお茶に変わります。急須を傾け、湯飲みに入れる。立ち上る湯気からは何とも言えない良い香りが。
ふうふうと息を吹きかけ、ずずとお茶をひと啜り。何とも心の落ち着くひと時ですよね。
残念ながら、今回の主役の方はそちらではありません。
急須に残った茶葉、通称「茶殻」が今回のターゲットです。
これを乾燥させて畳に撒いて掃除をすると埃が取れるなんていうライフハックがありますが、昨今の住宅事情では使えません。そのせいで基本的にはどの家でも生ゴミ行きです。食事のたびに茶殻が生ゴミになる。
それを見ていると思うのです。これを何かに使えないのだろうか?と。
茶葉がどういう経緯で加工されているかは知っています。茶の木から新芽を摘んで、それを揉んで乾燥させているんです。なので、茶殻を植えたとて茶の木にはならないなんて事は、さすがの私も知っています。
そうではなく、これをなんとか再利用できないかという事なんです。
調べたところ、実にお誂え向きな記事を見つけてしまったのです。それは土に混ぜると微生物が分解して腐葉土になるというもの。しかも、殺菌の効果もあるのだとか。
微生物で分解させるのに必要な物はたった一つ。米ぬかだけ。さっそく近くの精米をやっているJAに行き、米ぬかを購入。
作物を育て終え、カラカラになって白っぽくなってしまった土を、底の浅い小さめのプランターに入れ、水をかけて水分を土全体に行きわたらせます。そこでに米ぬかをそこそこの量まぶします。土全体に行きわたるまで熊手で混ぜて行きます。
たったこれだけで準備は完了。あとはちょうど良い大きさの植木鉢皿で蓋をして完成です。
これ、実はバイオ処理の生ゴミ処理装置と同じ仕組みなのだそうで、茶葉以外にも使えるらしいです。ですが、私はとりあえず茶殻だけでやってみる事にしました。
夜飲んだお茶の茶殻を小さなざるで水を切っておき、朝になったら土の中へ。熊手で混ぜ混ぜしてまた蓋をする。
翌朝見ると、茶殻にびっしりと白カビが付いていました。
さらに翌朝も、また翌朝も。そしてある事に気付きました。一昨日のカビに包まれた茶殻がいつの間にか無くなっているという事に。
新たにプランターに何かを植える時に、この茶殻土をバケツに避けて置き、また一から、米ぬか撒きから始めるわけです。
元の土と比べるとわかるのですが、茶殻土は黒々しています。まさに買ってくる腐葉土の色なんです。あんなに白っぽかったのに。
その辺の雑草を抜いて植木鉢皿で乾燥させ、ハサミで切ってまぶせば同様に分解してくれるので、雑草の処理にも便利です。
一年以上やってわかったのですが、この茶殻土の装置、たまに壊れます。とくに大雨が降って土がびちゃびちゃになると簡単に壊れて分解しなくなります。
そのまま放っておくと、土そのものから生ゴミ臭が漂ってきて、変な虫が湧いたりする事もあります。
そうなってしまったら、まずは土を一旦カラカラに乾燥させないとダメっぽいです。もしくは花壇か何かに捨てて、一から作り直すか。
それと夏はよく分解してくれるのですが、冬場は分解力が非常に弱いです。なるべく陽の当たる場所に置いて、茶殻も入れたらかなり丁寧に混ぜないと、周りに土が付いてダマになって、土玉みたいな状態になって分解しなくなってしまいます。
茶殻には悪い菌を殺菌する効果もあるのだそうで、単に腐葉土というだけでなく、害虫の発生や病気の発生を抑える効果もあるのだとか。
捨てるだけの茶殻が、まさかこんな風に使えるだなんてね。
今回は作物作りに欠かせない土壌作りに挑戦してみました。
次は何にチャレンジするか、次回をお楽しみに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます