第9話
「ん…ふわあ」あくびをして目を覚ましたトルは自分がベッドに寝ていることに気がついた。
「おはよう、連日の看病ありがとう」とレイジがトルの顔を覗く。
「あれ…もういいんですか?」トルは寝ぼけながら聞く
「薬草がよく効いたみたい、まだ手はピリピリするけどね」レイジはニヤッと笑う。
「そうですか…」(私のことベッドに移動させてくれたんだ…優しい人だな)
「後遺症が残らないといいけど…」
「実は私も昔刺されちゃって、足の合金が少し溶けましたよ!ふふ」
「…」(なぜトルは笑っていられるのか…)レイジは同族に少し引くのであった。
トルはもう一度小さくあくびをする。
レイジはふとトルの寝癖が気になって、トルの後頭部を撫でた
「ひゃあっ!」
「あ、悪い!」(そうだった、彼女は目が見えないんだった、)
「すまん、驚かせたな、嫌だったか」
「いいえ…むしろ…あ、なんでもないです…」耳まで真っ赤になって首を振るトルの姿が本当に愛らしい…
思わず両手できらきらの金髪をくしゃくしゃにしてしまった。
「あはは、ちょっと!やめて下さいよ!私わんちゃんじゃないですよ!」
かわいい…いとしい…こんな気持ちになったのは初めてだ…
「ふふ、レイジさ…っん!」
レイジは思わず、トルの唇に短いキスをしてしまった
「…」トルはあっけに取られてポカンとしている
「っ…!街で礼の品を買ってくる。今回は本当にありがとう。」レイジは頬を染めて広い帽子のつばをぐっと下げて街に降りて行った
「………!!!」
「…っ」
…2人はさっきの「感謝」…とはまた違う何か爽やかで恥ずかしいキスを思い出して、悶絶したのであった。
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