第4話

「それは目が見えないヤツらの文字だ」

ベッドから窓の外を見ると、あの夜私を締め上げた蛇竜がいた。

「陽光の下で…見ると…変わって見えるな…」

「改めて、見ると…鱗も…しき詰まってるし、やはり…知能がすばらしい」

「トル…が育てた…のか?」

「いや、違うね、アタシらが個人的にトルを気に入っているからここの周りにいるだけさ」

トルははにかみながら蛇竜を見る、いや、実際には見えていないのか…

「目が見えないのか?」

「はい、弱視で…強い色や光は感じ取れますが、シャープなものなどはくっきりと見えません」

「でも、意外にも困る事は少ないです!」

と、儚げなガッツポーズをしたトルは、続けて

「この国の王女様も私と同じように生まれつき弱視だったので、突起で表す文字を発明したんですよ!」

「ヘェ…王女が…ね」

レイジはふいと天井を見上げた

「アンタいつまでトルのベッドを使うつもりだい?」

と蛇竜が言う、「それは申し訳ない…看病してくれて…薬も作ってくれて…感謝する。」

トルの方を向くと「いっいえいえ…!お気になさらず!」

と頬を赤らめて謙遜する。

「それにしても、今まで…結構な数の…竜たちの毒を喰らってきた…がここまで…酷いのは初めてだ…悪いけど…私の手荷物を…知らないか?」

「あっ…ちょっと待ってて下さい、今探します…」

トルがベッドの下を手探りで探す

「酷いって…アンタの自業自得だろ?」

蛇竜が呆れた顔で言うが、レイジはそんなことお構いなしに

「君の…名前は?」と訊く

「泥棒に名乗る名前は持ち合わせてないね!」ガッと威嚇するように吐き捨てられた。

「ねえ!リンダ!レイジさんの荷物知らない?」

「そうか…リンダというのか」包帯まみれの顔でニヤっと笑ってレイジが言う。

「〜〜トルっ!!」

「こいつは泥棒だぞ!?トルの本を盗もうとした!」

遠くで尻尾をバシバシと叩きつけている。どうやらリンダにとってトルは大切な存在らしい。

「そうね…でも今更よ!泥棒に会ったことはたくさんあるけれど…」


「本を盗もうとした人は初めてよ!」


 

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