第38話 行き止まり(デッドエンド)


わかってたよ。


分かれ道が沢山あって、そのどれか一つが正解で、それの見分け方も分からずに、繰り返してたら。


ハズレの行き止まりに、たどり着く。


「......っ!!」


俺たちは、もう前には進めない。


後ろに戻らなくてはならない。


後ろには、もちろん、ゴーレムが居る。

こちらに、ゆっくり、歩いてきている。


「でもっ!」


ゴーレムを、倒せないにしても、

一時的にでも動けなくして、戻ることができれば、まだ!!


モカを、前の壁の方にそっと置いて、俺は振り返り、ゴーレムと対峙する。



「いく、ぞ.....っ」


選択肢が現れる。

出て、くれた。


「どちらのスキルを取得しますか?

→超撃

→迅撃」


さっきは迅撃で、ダメだった。


なら、超撃を試す!


でも、俺は、間違っていた。


俺は超撃のスキルを、迅撃と同じように、遠距離で、刃を飛ばせると思って、使ってしまった。


遠距離で斬撃を飛ばせるのは、迅撃だから、出来たことだ。


超撃は、そういうスキルではなかった。


ただ、それだけの、ことだった。


俺のスキルは、空振りした。


しかし威力は凄まじいようで、空を切った俺の剣の風圧が、ゴーレムを威嚇するように機能したらしい。


ゴーレムが、どこか警戒を強めたように、身体を震わせている。


これは、怯えではない。


これは、怒りだ。


なぜなら、怯えた者は、こんなに、こんなに、身体から気を発しない。


「スキル......!」


今度のそれは、足だけではない。


足を含む体全身から、オーラを発している。


「一体、何を......!?」




ゴーレムのスキルは、発動する。





......発動、したのだろう。


俺は、今、絶望している。



俺もモカも、いま何か直接ダメージを受けたわけではない。


でも、それは......ダメだ。


これは、もう、どうしようも、なくないか?


ゴーレムはスキルを発動した。


そのスキルは、俺たちを直接に攻撃するためのものではなかった。


ただそのスキルは、俺たちの希望を、断った。




ゴーレムの二つの宝石のような瞳が、俺たちを凝視している。


ゴーレムの身体は、もはやどれだかわからない。


なぜなら、




ゴーレムは、一瞬で、周りの岩を集め積み上げ、



今、




大きな壁となっている。





俺たちの後ろは、行き止まり。


前にはゴーレムの身体で作り上げられた、一部の隙間も無い、壁。



俺たちは、


前にも進めず、後ろにも進めない。




岩の牢屋に、閉じ込められていた。





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