業火の華

花魁の墓前、彼岸花を餐ふ。

廻る毒に身を委ね、耳を澄まして君の声。


「地獄に明日は無いでありんしょう」


凛と鳴る鈴、蟒蛇嗤いて、

濁水流るる私の躯。


「地獄に明日をつくるのだ」


愚かしいと喚く幻聴、

それら全ては私のこゝろ。


「故に、待って居てくれ給えよ、愛しい人」

「わっちはもう待ちんせん、どうともなんし」


揺れる陽炎、消え往く君と。

噛み締めるは砂利、見上げるは眩い太陽。

私は、とうとう死ねなかった。

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