忘却の”あぶそりゅーと”

緋櫻

忘却の”あぶそりゅーと”



走って

疲れて

また走って


ソファに寝転び

きれいなままで溶けていく


そんなあなたの微睡が

終わりを告げるその時を

私はじっと待っている


背中を預けた揺り椅子が泣く

いつかあなたも消えてしまう


窓の向こうのベンチが笑う

いつかあなたも消してしまう


声も、香りも、何もかも


空っぽのままの椅子のように

寂しさだけが募っていって

失くしたことだけ覚えている


この世に久遠はないけれど

まして絶対もないけれど


あなたが眠るその椅子と

いつか空になるこの椅子が

私とあなたの"あぶそりゅーと"

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忘却の”あぶそりゅーと” 緋櫻 @NCUbungei

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