ひつまぶしアイランド

@nemuizou

かつおぶし


「ひつまぶしを食べると、今ならひつまぶしアイランドにご招待!! ひつまぶしを食べよう」


そうテレビのCMが言っていたのを聞いて、はや25年。

最近、このCMをしていた会社に入社することになり、少しホッとした。


何故かって?

・14社面接しても入社できなかったのに、15社目でやっと入社できたからだよ。

・今思い返すと長かったな〜。


入社して1日目、俺の配属場所が決まった。

その部署の名前が「ひつまぶしアイランド消費部」だったんだ。笑えるだろ。


で、この部の仕事を聞いたら驚き桃の木三種の木ってさ。

えっ、面白くない?まあ良いよ、続きを言うぜ。


なんと仕事内容が、バブル時代に作ったひつまぶしアイランドを食べ切ることだってよ。

しかも、そのひつまぶしアイランドは南極の近くに作られたから、寒さで完璧に冷凍保存されてまだ食えるそうなんだって。


何言ってんだこいつって思いながら一週間経ったら、港まで連れて行かれて、ひつまぶしアイランドに25年越しのご招待されちゃったわけ。


でも、そんなん絶対嫌じゃん。だから俺はお前の家に来たわけ。


そう言う彼の電話がプルプルとなり始めた。


「あっ、タカヤンか? 高校ぶりだな、最近調子はどうだよ、こっちは大変でさー…」


そう言いかけると、彼は電話をミュートにしてこう言った。


「おい、おかしい。声がタカヤンじゃなくて上司だ。どういうこと?」


すると電話のスピーカーから、ガビガビの音質で聞こえてきた。


「お前の友の高田義夫を身代わりとして処刑します。嫌なら出港に。これを聞いているお友達、いや田中茂治さんと一緒に、〒135-0063 東京都江東区有明8丁目8に来てください」


そう聞こえ終わるとプツッと電話が切れる音がした。


と同時に、二人は顔を合わせ、すぐさま逃げようとした。


すると今度はエアドロップで、「逃げれない」と二人のスマホに送られて来て、すぐさま東京港に向かうことにした。


俺のデリバンで東京港に着きエンジンを止めると、「かつおぶし号」と書かれたオレンジ色の船がどっしりと存在しており、


それを見ていると後ろからビシッとブルックスブラザーズのスーツに、ロンジンの腕時計をした中年のおじさんが近づいて来た。


「あれ上司だよ」そう彼が言うと、


おじさんは「お車ですか?それともお体ですか?」と聞いて来た。


何を言っているんだと思いながら顔を顰めていると、横から。


「車に決まってるだろ見てわからないのか!てかタカヤンは大丈夫なんだろうな!」


そう来た方法を聞いたと思った彼は言った。


するとおじさんはポラロイドで撮ったであろう写真を見せつけ、こう叫んだ。


「お前らのせいで高田義夫は海の底だよ。」


そう写真を見せながら叫ぶとその後穏やかな声で、


「良し良いぞ」と囁き去っていった。


すると後ろから体格のいいタンクトップ姿の男が俺のデリバンをとんでもない力で押していき、


エンジンがかかる前に船の中に押し込んできた。


何が起こったのかわからないでいると、周りを見渡すとかなりの台数の車があった。


すると船が白いモヤに包まれいつの間にか二人は寝てしまった。

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