第6話

第6話



 ブリアナが言っていた、ホアンの話はわかっていた。


 穢れを受けたことによる浄化の影響で記憶喪失になり、自分を覚えていない恐れがあること。


 浄化の儀の副作用としては、よくある話だが。


 王子である僕のこと、忘れるはずはない。


 ブリアナの人格的な部分には、否定したい。


 肉感的には遊び慣れてるぶん、退廃的で快楽主義だったこと。


 それは多少なりに自分と似ていたからこそ、すぐに思い出すと思ったのに。


 他人を見るような目で、僕を見るのはわかっていたけど。


 それでも反応は真逆。


 以前と違い、まったく男になれてない。


 僕にすり寄るどころか、追い出された。


 その上、会話した内容が道徳的で非常におかしい。


 以前のブリアナと違いすぎた。


 その上、この胸の疼きはなんだろう?


 快楽的なものとは、全然違う。


 苛立ちが伴うけど、好奇心が唆る。

 

 無視できそうにもないもの。


 僕とって、それは何よりもとても不可思議で、心地良くもあるふわふわとした夢心地な感覚だったーー。


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