第3話

第3話



 私は、それでも小さく首を振り、どうにか気を取り直し、ウライフを睨みつける。


「……王子だあろうが、何だろうが、関係ないわ。これって、非常識すぎるもの。ともかく出て行きなさい!」


 私は、声を荒げ、手厳しく宣言する。


 ウライフは、一瞬瞠目した。


 瞬時、くるりと背を向ける。


「……わかったよ。そこまで言うならば、出て行く。好きにするといいよ」


 ウライフは、そう投げ捨てるように言うと歩き出す。


 少し開いていたドアを大きく開け、室からいなくなった。


 ウライフの態度からは、明らかに苛立ちが見えた。


 私は、やりすぎたと感じていてはいる。


 それでもウライフが寝室からいなくなったことに、私は安堵の息を漏らす。


 私が細かく震える拳を握り締めていると、次に室へ入って来たのは、綺麗にアップした藍墨の髪に水色の瞳を持ち、長身で顔立ちが整った女性だった。

 

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