神様への愚痴

陶山雅司

第1話

善の神




 「私は神だ」




 自分




 「何の神ですか」




 善の神




 「善の神だ」




 自分




 「お前さあ、何をもって神だと名乗っているんだよ」




 善の神




 「私が善をつかさどっているからだ」




 自分




 「お前がいなくなったら、この世から、善は消えるのか」




 善の神




 「いや、だが、私のような善が無くなったら、この世界にとって大きな損失だ」




 自分




 「損失なだけか」




 善の神




 「まあ、そうだが」




 自分




 「お前、人類を作ったのか」




 善の神




 「いや、作ったのは創造の神だ」




 自分




 「じゃあ、お前、何ができる」




 善の神




 「善の事なら、何でもできる」




 自分




 「あんま意味ねえなあ、善ってのは相対的なもんなんだよ」




 善の神




 「そういう面もあるが、明らかに善な事もこの世にはある」




 自分




 「たしかにあんたは善の神かも知れないが、それで、世界は平和になってないじゃないか」




 善の神




 「それは、悪の神がいるからだ、私がいなくなったら、悪がこの世を支配するであろう」




 自分




 「何でお前が、悪の神と直接戦わないんだよ」




 善の神




 「私の忠実なしもべたちなら必ずや、悪を倒してくれるであろう」




 自分




 「お前のそのやり方が善じゃないんだよ、自信ねえのか」




 善の神




 「いや、あるが」




 自分




 「じゃあやれよ、人類に悪と戦わせてるんじゃねえ、善の神名乗るなら自ら悪の神を倒して見せろ」




 善の神




 「この世の終わりにはそれが起こる」




 自分




 「お前なあ、それまでにどれほどの無実の人が苦しんだり死んだりしてると思ってるんだよ、出来るなら、さっさとやれ」

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