第31話 色々と説明しますわ。
「その~……私の魔力が濃いらしく。それと、黒竜の血液が新鮮だったから、極エリクサーが完成しちゃったみたいです。えへへ」
そう話すと、お父様とジュエルお兄様が、揃って頭を抱えている。
うん。その気持ちは分からんでもない。だけど、作ってしまったんだから仕方ないんです。
「あのですね……実はまだ後二つ、極エリクサーがありまして」
テーブルに二つのエリクサーを並べる。
「「ファ!?」」
二人がテーブルに並べられた極エリクサーを見て再び固まる。
なんだかすみません。
「このエリクサー、輝きが異常じゃないか?」
「お父様、僕も同じ事を思っていました。文献とかに載っているエリクサーは、濃い青だったと。だけどこれは、キラキラと輝く光の粒子が入っているみたいです」
「うむ。極エリクサーだからなのか……これはテーバイ国王陛下に言って、この事を誰にも言わないとの約束の、魔法契約を結ばないといけないかも知れない」
「そうですね。このことで、レティが危険に晒されるのだけは避けたいです」
「その通りだ。全力でレティを守らなくては」
二人で私の心配をしてくれている。
確かに、二人が言うように死んだ人まで蘇らせることのできる、極エリクサーが作れるなんて知られたら、誘拐されて一生エリクサーを作らされる事になる可能性だってある。
だってまだ六歳なんだもん。
小さな子供なんて、袋に入れてさっと誘拐されてしまう。
そんなの絶対嫌だぁぁ。
でも最強の強さを誇るレティシアだから、誘拐されてもどうにかなりそうではある。
ううむ? でもなぁ。今の所、この最強の力、戦いには一切使ってないんだよねぇ。
「レティ? 取り合えずこの極エリクサーは、私が預かっていて良いかな?」
「はい! もちろんです」
私が持っているよりも、お父様の方が何倍も役にたててくれそう。
「エリクサーが作れるなら、レティはハイポーションなども、もしかして作れるのかな?」
お父様が少しソワソワしながら聞いてくる。
ドンバッセル領では、深淵の森から現れる魔物のせいで、赤い狂騎士たちの傷が絶えない。
極エリクサーはヤバいけど、まだ気軽に使えるハイポーションがあれば便利だ。
だってこの世界で作れるのはポーションだけ。
ハイポーションは迷宮で入手しないと手に入らないのだから。ハイポーションは、なかなか入手できなくってレアなのだ。
それは是非ともみんなのためにも作りたい。
「《叡智》ハイポーションの作り方は?」
ピコン!
【ペコリ草】と【金色きのこ】と【蒼薔薇】を、乾燥させ細かい粒子の状態まで砕き、聖水と混ぜ合わせそこに魔力を注ぐと完成します。
これらの材料は、深淵の森で全て入手できます。
なるほど、材料が深淵の森で入手できるならありがたい。魔物討伐の合間に採取してもらったらいいんだから。
「叡智に聞いて見たんですが、ハイポーション作れるみたいです。必要な材料も深淵の森で全て入手できるみたいです」
「本当かい! それは嬉しいよ。材料をすぐに入手するよう、連絡を入れておく」
お父様が喜んでいる、なんだかんだ言って、厄災の魔王の力で攻撃したことはない代わりに、この力で、料理とか薬とかしか作ってない。
厄災の魔王の力の無駄遣いをしている気がするけれど、まぁ良いか。
料理大好きだし。美味しいものを食べれるなら最高。
私が無理に戦わなくても、赤い狂騎士たちがついている。
お父様たちと話している所に。
「レティシア嬢! 君が妻を……アリアンナを治してくれたんだよね!?」
「レティシアありがとう! 僕嬉しいよっ!」
「レティシア様、私の命を救って頂きありがとうございます!」
家族の抱擁をおえた三人が、私たちがいるところにやってきた。
王妃様までいる。
見るからに健康そうで本当に安心した。
「レティシア様、主人から聞きました。私の呪いを解呪して、さらにエリクサーで助けてくれたんですよね。ありがとうございます」
王妃様が私の背に合わせるように座り、目線を合わせてくれ涙目で御礼を言ってくれる。
こんな小さな少女に。普通らなあり得ない。
「私は一度死んだんですよね? なのに今生きているのは、レティシア様がエリクサーを作ってくれたからって、聞きました。本当にどうやってこの恩を返せば……」
王妃様が、目からポロポロ涙を流しながら、御礼を言ってくれる。
良かった……この人を助けられて。
お父様が国王様と詳しく話している。
さっき言った内容を伝えているのかな?
チラチラ様子を見ていると、国王陛下の顔が固まっている。
極エリクサーの話をしているのだろう。
さっきまでのお父様の顔と、同じ顔をしている。
なんだかすみません(再)
この後。
国王陛下、王妃様、ライオスと魔法契約をする事に決まった。
三人はかなり厳しめの魔法契約だったのにすぐに了承してくれた。
私のことを誰かに話そうとすると、言葉が一生話せなくなるという契約だった。
「そんなことでいいの? 妻の命の恩人であるレティシア嬢に、不義理をしたんだ。死を覚悟してもいいくらいだよ。まぁ不義理なんて絶対しないけど」
「わたくしもですわ。どうせ死んでいた命、どうなってもいい。レティシア様を危険に晒すなんて行為は最低です! 死を持って償います! もちろん絶対しないですわ」
「僕だってそうだ。ずっと呪われて、そんなレティシアを裏ぎる行為をしたからには死を!」
いやっ、あの、愛が重たいです。死ななくて大丈夫。
一生話せなくなるでも、かなりしんどいですよ?
とりあえず、死ぬは丁寧にお断りして。
「これで契約完了だね」
どうやらこれで、私の秘密は誰にもバレないようになった。
ちなみに治癒師さんは、王妃様が突然生き返ったと思っている見たい。
まぁ、そう言うこともあるんだと、国王陛下が丸め込んでいた。
とりあえずは、一件落着かな?
なんて思っていたら、次の問題が迷い込んでくるわけで……
★★★
久々の更新となってしまいました。この暑さで体調を崩していました。
皆様も体調崩されぬようご自愛くださいね。
それにしても暑い!
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