清涼飮料水

梅干しに霙（みぞれ）のやうなお茶をかけ茶碗の中のお茶漬けを食ふ

ジャスミンティーをごくごくと香（か）は鼻を拔（ぬ）く梅雨曇り

サイダーの頸（くび）も光つて濡れてゐる　ガラスのやうな君の衿頸（えりくび）

こんなにも冷えてゐるのに初戀（はつこひ）の微熱のやうなジンジャーエール

ダイナーのカウンター席　君のその白いサンダル　コーラフロート

あの夏に、がぶ飮みしてゐた學校󠄁の水のPFASs（ピーファス）

ミステリー小說を讀み氣がつけば氷も水のアイスコーヒー

レモネード透かした芝生は皆枯れてゐる夏の眞下（ました）の代々木公園

ソーダ水まどろむやうな風のなか泡の拔（ぬ）けきる前に飮みほす

飮みかけの微温（ぬる）いラムネは甘いまま二人の前に夏が溢（あふ）れる