自主企画参加作品・『遣らずの雨』
夢美瑠瑠
第1話
【この掌編は、自主企画・お題「雨・口・理由」で一話作ろうに投稿したものです】
竹久夢二作詞の、昔の歌謡曲を「降ってこぬかと待つ人を 宵待ち草のやるせなさ …」
と、記憶していて、「?」と、わけがわからなくなり、ずいぶん昔に流行ったらしいことだけを知っていて、あの、大正期に活躍したらしい、抒情的で、一種淋しいような、モダンなような、美人画の painterで、composer 、poet それぞれに練達していて、情緒纏綿の独自の小宇宙をなしているかの人は、たぶんこういう詩を書いたやろうな? そういう私的なイメージ
正しくは、「いくら待っても来ぬ人を 宵待ち草のやるせなさ」という歌詞で、「宵待草」というのがタイトル。
宵待草も、ポエムめいているが、「
だからこの歌は、遊女である身を、夜だけ咲く花にたとえて、で、そういう愛しい男への思慕の念を、あのいかにも人待ち顔の、夢見るようなまなざしの女がぼんやりと開いた口から吐露している…
そのイメージだけが意識野に浮かんでいて、で、「今宵は月も出ぬそうな」と、月ではなくて宵、それはたぶん雨だからで、で、「小糠雨」という言葉が混同された…
「遣る瀬無さ」は、「遣る」という字がポエムで、微妙です…ここに、「遣らずの雨」という、きわめて和風の、素晴らしく雨の情緒を表現して間然するところのない例の表現が、夢二にも、私にも、浮かんでいて、だが、それは別の連想をも呼ぶ表現で、それは言外に匂わせたい…で、「遣らずの雨」という、隠されたテーマは隠蔽された。
ある、記憶の錯誤の理由が、妄想じみてはいるが、ある雨の日に、こうして浮かんだというその顛末を、戯れに示してみただけであるが…
自主企画参加作品・『遣らずの雨』 夢美瑠瑠 @joeyasushi
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