合同文化祭
もうすぐ合同文化祭です。
南天蝶紋は撫子蝶紋より格下とみられていますが、以外にも市民に愛されている、それがこの合同文化祭で如実にわかるのです。
もっとも成人男子禁制ではありますがね、
撫子蝶紋はお堅い研究発表が多く、南天蝶紋は娯楽要素が多い。
中原シティの住民はアングルボザのエリアに殺到するのです。
「去年のアングルボザは人形劇の『はだかの王様』だったけど、今年は何をするのかしら?楽しみね♪」
「なんでもダンスらしいわよ、マルスで昔流行った映画のダンスらしいわよ♪」
「毎年、楽しい演目よね、子供たちも楽しみにしているのよ♪」
「アングルボザの屋台もおいしいわね♪お安いし、ファーストフードぽくって、気取らなくてわ♪」
「私、去年『りんご飴』ってのを食べたのよ、案外においしいので家で作ってみたのよ、でも飴がくっつかないのね……」
「ああ、それね、私、去年、屋台の娘さんにコツを聞いたの、そしたらなんといったと思う?」
「内緒とか云ったの?」
「リンゴを洗ったらいけないって云ったのよ、あっけらかんとしてね、思わず噴出したわ!」
「アングルボザの娘さんって、馬鹿正直なのよね、でも底抜けに明るく可愛いし、うちの馬鹿息子の嫁になってくれないかしら」
「そうよね、中原シティの娘さんは素晴らしく美人で賢いけど、堅苦しくってね、あれではそこらの男は怯むわよね」
中原シティ高等女学校も演劇なども発表しますが、去年はギリシャ悲劇、それも『アイアース』なんてのを長々と演じていたようです。
とても綺麗な女学生が男装などしてね……でも、小難しくてね……
教養のある方には受けていましたが、『りんご飴』なんか齧っている庶民には受けませんね。
アングルボザ高等女学園は、大衆に愛されているようなのです。
中原シティ高等女学校もアングルボザ高等女学園も、生徒は選りすぐりの美女さんですけど、中原シティ高等女学校と違い、アングルボザ高等女学園は親しみやすいのです。
例えば中原シティ高等女学校も屋台なんて出していますが、『ラタトゥイユ』でした。
もし誰かがノウハウなんて聞いたとします。
多分、中原シティ高等女学校の生徒もレシピを開示してくれるでしょう。
さらに懇切丁寧に手順など見せてくれると思いますね。
つまり堅苦しいのです……
でも、ネットワークでの評価は圧倒的に中原シティ高等女学校です。
ヴィーナスさんに対する、奉仕の心構えが違うのです。
アングルボザの生徒らは、ヴィーナスさんに、『ねえねえ、ヴィーナス様』なんて言いかねないですから……
ヴィーナスさんはそんなこと気にしませんが、他の侍女さん以上の方から見ると、そんなため口、『百年早い!』となるのですね。
先代の校長は、アングルボザ高等女学園を中原シティ高等女学校並みに評価を引き上げ、女官任官課程校にと願い、努力していたのですが……
しかしアングルボザの娘たちは馬耳東風、あまりにうるさい校長の排斥運動なんて起こったのです。
管轄するニライカナイハレムは、排斥運動なんて起こした女学生の退学を決定したのですが、肝心の校長が反対、自身が責を追い退職したわけです。
この先代校長がシンディーさんの母親、クリスティーナさんだったのですね。
のんびりとしたお嬢様気質のシンディーさん、女学生と同じ目線で悩む姿にアングルボザの娘たちから慕われているのです。
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