相変わらずヴィーナスさんの一人負け
さらにサリーさんが、
「ところで軽便鉄道敷設の経費はお嬢様持ちなのでしょうね!」
「事務局もいささか『手元不如意』、たくさんお貯めになっておられるのでしょうからね♪」
そしてガブリエルさんに向かって、
「軽便鉄道の『使用料』、儲かっておられるようですね♪」
「ミリタリー・オフィスも儲かっているのでしょう?基本的に『赤字』はでないはずですからね♪」
ガブリエルさんが、
「確かに敷設されれば赤にはなりませんね、初期投資がなければ別に反対はいたしません」
サリーさんが続けて、
「ところでプラネテスの食堂、軍務雇員徽章があれば無料でしたよね、ウイッチは無料になりませんか?」
「かなり軽便鉄道の『使用料』、儲かっておられるとおっしゃいましたよね、ニライカナイの『貧しい女』たちにもお願いできますよね♪」
ガブリエルさん、渋い顔をしていますが、チラッと上司のアマテラスさんの顔を見て、
「そうですね……アマテラス様がいいとおっしゃるなら……」
「ガブリエルさん!もう、わかりました、事務局の要望を認めます……」
アマテラスさん、超渋い顔をしていましたね。
ここでまだ終わらないのがサリーさん、にっこりと影山部長に振り向き、
「そうそう、砂糖はとてもお安くなるのですから、レイルロードスウィーツオートカフェのお値段、『もっともっとお安く』なりますよね♪」
「マレーネさん、砂糖が『とてもお安く』なったなら、例えば『ケーキ缶』はどれぐらいお安くなるかしら?」
「マレーネさんも『ケーキ缶』はお好きでしょう?」
ニヤリと笑ったマレーネさん、
「案外に砂糖の原価はお高いですから、あと十五円は安くできると思いますね」
「先ほどの案で大量生産すれば原価はさらに『お安く』なりますから、物資補給部の『努力』を期待して二十円は安くできると考えます」
「まあ私の希望的観測ですけどね♪」
影山部長、なんともいえない顔をしています。
「今扱っている『ケーキ缶』に限定させていただけるなら、現行の五十円の販売価格を三十円にいたします、これ以上はご勘弁を!」
マレーネさんが、
「まあまあ、二十円にしてくれれば、その代わりの良い話を教えてあげますよ♪」
「良い話?」
「たしか『栗』が高いとか云っていませんでしたか?」
「栗はたしかに不足気味なのですが」
「いま惑星セレンゲを調べてみたのですが、ドングリ関係が豊富のようなのですね、ドングリには『栗』も含まれますよ」
「惑星セレンゲのドングリ関係の木の実はどうやら『雑草根』に似ているようで、1年を通じて収穫できそうなのですよ」
「ざっと調べてみると『どんぐりコーヒー』ですか、『どんぐり餅』とかいうものもありますね」
「セレンゲで飲まれている『どんぐりコーヒー』って、かなりおいしいようですね、特にミルクを入れるとね」
「栗はセレンゲの輸出品として、物資補給部で購入し運べばいいでしょうね」
「でね、『どんぐりコーヒー』の粉と、『どんぐり餅』を作るデンプンは砂糖の栽培プラントの横にどんぐりの栽培プラントを作って差し上げますよ」
「当然連動して製品にする製造装置も併設しますよ」
サリーさんが、
「マレーネさん、ちょっと待ってくださいな、そこまで物資補給部にサービスするなら、『ケーキ缶』をウイッチに限定して無料にしてよ!私、あのケーキ缶、大好きなのよ!」
マレーネさんが、
「あれ、サリーさん、本音が出ましたね♪」
サリーさんが、
「いいじゃないの、もうこうなったら言わせていただくわ、『ケーキ缶』ただにしなさい!」
で、結局、サリーさんの『鶴の一言』で『ケーキ缶』は無料になりました。
砂糖は『低価格高品質砂糖 セレンゲ糖』、栗は『セレンゲ栗』というブランド名とし、物資補給部が取り扱い、レイルロード限定で販売することになりました。
そして『セレンゲどんぐりコーヒー』、『セレンゲどんぐりデンプン』は各地の執政官府や管理官府に無料で配給と決まりました。
救貧のための商品としての無料配布、セレンゲの知名度は飛躍的に向上したようです。
軽便鉄道セレンゲ線も無事に開通……
湯船の謁見のあと……その激しい行為のあとの結果……とても表現できないですので……
オルメカⅥステーションの手前に分岐ステーションを置き、三級ポイントを十三ケ所経由して、終着のセレンゲ・ステーションは軽便鉄道簡易プラットホーム。
「もう、この辺で許してね、ポケットマネー、サリーさんに毟り取られたのですから!」
まあ、こうなるのですね。
そうそう、砂糖がバカ安になったので、甘味系がかなり安くなったとか……
まあ、高級菓子には『低価格高品質砂糖 セレンゲ糖』は使わないようなので、おいしいお菓子は相変わらずの値段ですよ。
FIN
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます