永遠の日常に終わりを

すずめ

〜プロローグ〜

過去に戻りたい。後悔している事をやり直したい。何が理由かは人様々だろうが、誰だってそんなことを一度は思うはずだ。

しかし、過去に戻るということは今を捨てるということ。

あなたには、今までの全てを元に戻してでも過去に戻りたいと思うだろうか。


ここは、田舎のとある平凡な高校だ。

「やっと学校が終わった〜」

そう呟いたのは今年高校生となった河村永太だ。まだ6月だというのに永太はこの高校に飽き飽きしていた。

なぜなら永太がいる学校は、県内でも屈指のバカ高校であったからだ。

永太は頭が悪いわけでもないが、特に夢もないため適当な高校へ入ろうと考え、この高校に入ったのだった。

「なぁ、この後ゲーセンでも行かね?」

永太にとって数少ない友達である武井健太にそう言われた。彼は頭こそ悪いが、俺と違いすぐにクラスの奴らと仲良くなった。

「他の奴らと行ったらいいじゃねぇか。俺以外にも仲良いやつはたくさんいるだろ?」

「つれないこと言うなよ。優斗も来るからさ。な?行こうぜ?」

優斗というのは俺の幼馴染だ。苗字は渡辺だが、クラスに同じ苗字のやつがずっといたため苗字ではあまり呼ばれていない。最近こそあまり話さないが、昔はよく遊んでいた。

「分かったよ。行けばいいんだろ」

「お前ならそう言ってくれると思ってたぜ!それじゃあ行くか!」

ゲーセンに行った後、久々に楽しいと思えた。高校に入った後は遊ぶことが殆どなかったからだ。

家に帰った後、男1からメールが来た。

「またこの3人で遊ぼうぜ!」

「3人で。か」

永太は1人で呟いた。

中学生の頃、俺たちはよく4人で遊んでいた。健太、優斗、自分、そして本田彼方だ。

彼方というのは、小学校から中学校の9年間仲が良かった親友の1人だ。しかし、彼方は中学2年生の夏頃、急にいなくなった。いなくなったと言っても、転校した。という話は聞かなかったから、何かがあっただけですぐに会えると思っていた。しかし、何日経っても彼方は現れなかった。不安になって彼方の家に行ってみた時、初めて彼方が本当にいなくなったと知った。なぜなら、彼方の親も彼方を探していると言っていたからだ。俺達は必死で彼方を探したが、どこにもいなかった。まるで神隠しのように彼方はいなくなっていたのだ。

その後は、自然と健太、優斗とも遊ばなくなっていた。永太としてもあまり思いだしたくない過去だった。

「また4人で遊びたいな」

叶わないことだと分かっていても、少しは期待してしまう。久しぶりに遊んだ疲れからか、眠気が襲ってきたので永太はそのまま眠りについた。


そして目覚めた時、何もかもが元に戻っていた。

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