歪んだ廊下の歪んだゆがみ
片桐秋
第1話
歪んだ廊下を僕は歩いていた。歪んだ鏡に映るように、その廊下は歪んだまま、方向だけは一定の真っ直ぐに伸びていた。
僕はその廊下を歩く。廊下は長く、どこまでも続いていた。曲がりくねった廊下の先はなかなか見えなかった。
廊下には時折、窓が見えた。大きな窓もあれば、小さな窓もあった。カーテンの掛かった窓もあれば、ガラスさえ嵌められておらず、風が吹き込んでくる窓もあった。
大理石が磨き上げられた、見るからに高級そうな床板の上を歩く時もあれば、朽ちてゆく木の板で張られた床を歩く時もあった。他にもレンガやコンクリートの床の上を歩いた。
やがて廊下の突き当たりにたどり着いた。そこにはドアがあった。
僕はドアを開けることなく、そのまま背を向けて引き返した。
終わり
歪んだ廊下の歪んだゆがみ 片桐秋 @KatagiriAki
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