第8話 黙示録


「黙示録」


黙示録のすべての封印が解かれ、世界は崩壊の淵に立たされる。

最後に現れたのは、絶対悪の象徴「デビル」。

そしてもう一人、天より現れる人物がいた——

それは救世主イエス・キリスト。


イエスは静かに宣告する。


「この混乱の根源はバラム。彼を処刑することで、神の秩序は回復する」


かつて自由を貫き、人々を導いたバラムの行いが「秩序への反逆」と見なされ、

神もまた「それが正義である」とうなずく。


メイやカシが必死に訴える中、バラムは自ら進んで処刑台に立つ。

「もし俺が、人類の破滅の象徴であるなら、それを受け入れよう」


だが——イエスの瞳が、最後に一冊の日記に留まる。


それは、バラムが旅の中で書き続けてきた記録。

そこには、人類を救うために戦った姿、人々への愛、そして信仰が綴られていた。



◆クライマックス描写(バラム処刑寸前)


天の階段にて、十字架が立てられる。

バラムは静かにその下に立つ。

神々が見下ろし、悪魔たちが笑う。


メイが泣き叫ぶ。「待って!彼は——彼は正義を貫いたのよ!」

カシが叫ぶ。「黙示録を止めたのは、こいつだろうが!」


イエス・キリストはゆっくりと歩み出る。

その手にはバラムの日記が握られていた。


ページをめくる。血でにじんだ文字が、そこに刻まれていた。


《何が正しいかなんて、わからない。でも、誰かを守りたい気持ちは——本物だ》


イエスは静かに目を閉じ、そして言った。


「……我が父なる神よ。私は新たに知った。

この男は、私と同じ。苦しみの中で、人々のために血を流した者だ」


天が揺れ、神が動揺する。


「処刑の判決を——破棄する。

この者に赦しを。全ての人類に、再び希望を」



◆エピローグ


世界を覆っていた終末の炎が消え、空に光が差す。


「バラム、君はもう……」

「ああ。もう“救世主”なんかじゃない。今度こそ、ただの人間さ」


彼は剣を置き、仲間と共に笑った。


神も、悪魔も、世界を超えて——

人類は“選ばれる存在”ではなく、“自ら選ぶ存在”として生きることを許された。


そしてメイが最後に呟く。


「……この時代を“奇跡”と呼んでも、いいよね」


バラムの日記が、最後の一頁で静かに閉じられる。

神を殺した罪は赦されたのだった。

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闘神バラム 黙示録の悪魔 @eichan4

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