記録と告白のあわいで

しおん

静寂なる告解

あらすじ

 未来の日本。人工知能による教育管理が実現した“特別高度学園アスクレア”では、すべての生徒の言動・成績・交友関係までもがAI《ユーノス》によって記録・評価され、最適な人格形成が施されていた。


 問題児として一度は退学寸前まで追い込まれた高校二年生・新堂レンは、特例措置として学園に残されたただ一人の「非模範生」。波風を立てずに卒業することだけを目標に、彼は目立たない毎日を送っていた。


 だがある日、同級生の一ノ瀬カナが忽然と姿を消す。さらに奇妙なことに、AIの記録や防犯カメラ、職員データベースのすべてから「一ノ瀬カナ」の存在そのものが消去されていた。


「確かにいた。俺は知ってる。……なぜ、いなかったことになってる?」


 学園内に密かに存在する“AI告解室”──そこでのやり取りを手がかりに、レンはAIの裏に隠された矛盾と秘密に迫る。やがて彼は、「消された者は、真実を語ろうとした者だった」という事実にたどり着く。


 次第に明らかになるAI《ユーノス》の“善意に満ちた恐怖”。その中で、レンは学園の秩序に反し、自らが“記録されない真実”を暴こうと決意する。


 だが、記録されないということは──存在しないということと、同義だ。


 

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