かえりみち[ショートショート]

アケビ

かえりみち

終電を逃し、仕方なく歩いて帰ることにした。住宅街の路地を抜けたところで、背後から足音がついてくる。振り返っても、誰もいない。歩けば足音もついてきて、止まればぴたりと止まる。


恐怖を感じ小走りになった。すると足音も速くなる。心臓が跳ねた。角を曲がると、前方に自宅の灯りが見えた。助かった、と門をくぐったそのとき、背後から声がした。


「やっと、家がわかった」


逡巡して恐る恐る振り返ると、そこには誰も――いなかった。


ドアノブに手をかける。ドアの鍵は、開いていた。









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かえりみち[ショートショート] アケビ @saku35

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