第3話 井戸掘りゴーレムと水の音



 二日後。俺とぷにたが植えた野菜は、見事に芽を出していた。

 異世界野菜「ラフリーフ」はサニーレタスに似ていて、しゃきしゃきの食感が売りらしい。


 だが、問題があった。


「……水、どうする?」


 このダンジョンには水道がない。魔法水もない。スライムの体内水分で育つわけもなく、ぷにたも困った顔(ぷにっ)をしている。


「マスター、井戸掘ろうよ。地中に水脈あるよ」


「あるのか!?」


「ぷにたの鼻は“畑と水”に関しては神センサー!」


 すごいな、ぷにた。

 ……いや、鼻あるのか?


《井戸掘りゴーレム:5MPで召喚可能。地中探査+掘削機能あり。非常に寡黙》


「決まりだ。ゴーレム、召喚!」


 ドゴォン、と音を立てて地面が割れ、そこから無骨な石の巨人が現れた。

 両腕にドリル。体には地質図が刻まれている。名前は……うーん。


「お前は“ドボル”な」


 無言でうなずく石ゴーレム。


 彼は、黙々と作業を開始した。

 掘る、砕く、掘る、削る。ドリル音だけが静かなダンジョンに響く。


 ――数時間後。


 コンッ。


 音が変わった。

 ドボルが頷き、地面に手をかざすと、ぽこぽこと地中から水が湧き始めた。


「……おおお、やった!」


「ぷにた感動~! スープが飲める!」


 そうだ。

 水があるってことは、料理ができる。風呂も入れる。都市としての第一歩が、ここで完成したのだ。


 こうして俺たちは、

 ダンジョンに“井戸”を持つ、最初の都市管理者となった。


✒️あとがき

今回のキーワードは「水源」でした!

井戸を作る=生活が可能になるということで、都市としての土台がようやく整ってきました。

今後も、インフラ整備→人(?)の出入り→交流と、段階を踏んで都市が広がっていきます。


次回は、いよいよ**ダンジョンに“訪問者”**が……?


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