メンヘラチョコサンドクッキー

@momomu_0430

第1話 メンチョコへの気づき

6月某日、スマホを片手にクロワッサンを食べる。あの日のときめきを思い出したくて。


ここは元彼と初めましてをした場所。マッチングアプリで仲良くなった彼と初めて会うことになり、私が良さげな雰囲気のカフェを手当り次第探して見つけた場所である。彼は女が何をすれば喜ぶのかを熟知していた。私と出会う前、3年ほど付き合った元カノがいたらしいのだが、やはり誰かと長く付き合う経験がある人は違うのだろうか。誰とも付き合ったことがない私の目には、私の話を真剣に聞いてくれる彼が王子様に見えた。その日は結局夜ご飯を食べて夜景を眺め、彼は終始わたしを楽しませてくれた。

それから私たちが付き合うまで時間はかからなかった。


初めての彼氏が出来た私は毎日がキラキラ薔薇色に見えた。私のことを好きな男の子が1人いる ただそれだけなのに、なぜか自分はこの世界で1番の幸せ者だと感じていた。


しかし、しばらくするとだんだん彼の返信が遅くなってきた。付き合い始めは仕事に行く途中や寝る前など、ずっとLINEをしていたのだがそれも無くなり、遂に半日に1回しか連絡が来なくなった。そして、振られた。

私はこの頃からメンヘラチョコサンドクッキーとしての第2の人生を歩むことになる。



恋愛は元々苦手だった。高校の時にできた好きな人には、なかなか自分からアプローチすることが出来ず、私の片想いは全く成就することなく終わっていった。自分に自信が全くなかったのだ。そんな自分を初めて好きになってくれた元彼に、付き合った当初から私は執着し始めていた。


振られた日から私は何をしても何を見ても涙が止まらなかった。なぜなら私にとってこの世界は彼中心でまわっていたから。彼に可愛いと思われたくてインスタで新発売のコスメ特集を保存し、彼好みの服をさがし、とにかく私の頭の中には彼しかいなかった。

私は誰を考えて生きていけばいいのか分からなかった。元々妄想癖がある私は暇さえあれば誰かと恋愛関係に落ちる妄想をしていた。推しがいた時期はその推し、学生の頃は当時好きだった人、とにかく私の頭の中には誰かが常に居座っていた。


誰とも付き合ったことがない私は知らなかった

。自分がここまで恋愛体質だったということに



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