第三章:鬼たちの困惑
何千年もの間、鬼たちは穏やかな日々を過ごしていましたが、
ある日、その平穏は突如として崩れることになりました。
海の彼方から、新たな存在——人間たちがやってきたのです。
初めて人間を見た鬼たちは、
あの小さな生き物はなんだ?
と陰からこっそり眺めていました。
彼らは命の山を目指しているようでした。
険しい山を登り、山の頂の金銀を見ると
「金だ!銀だ!」
「宝の山だ!」
と大騒ぎをはじめました。
「これだけの金銀があれば、村が潤うどころじゃないぞ。」
「全員が大金持ちになるぞ!」
村人たちは満面の笑みを浮かべ、
鬼の生命線である金銀を掘り起こし始めました。
「これは大変だ!」
と、 鬼たちは慌てて、人間たちの前に姿を現しました。
「それは我らの生きる糧なのだ!取るのをやめてくれ!」
しかし、鬼たちを初めて目にした人間たちは、
その巨大な体と鋭い角に恐れをなし、
「ぎゃああああ!化け物じゃー!」
「鬼じゃー!!!逃げろ!!」
と叫び、金銀ばかりか、クワやスキといった道具までも放り出し、
一目散に山を下りて行きました。
「ま、待ってくれ……」
鬼たちは困惑しました。
鬼たちは、ただ話をしようとしただけだったのに、
人間たちは鬼たちの姿を見るなり、
恐怖に駆られ、逃げ出してしまったのでした。
「ほんの少し、外見が違うだけなのに……
我々はそんなに恐ろしく見えるのか?」
「まあ…我々より小さかったから、驚いただけだろう?」
「角も無かったしなぁ…」
鬼たちは、そう疑問を抱きながらも、ほっと胸をなでおろしました。
鬼の長老・温羅(うら)も
「話が出来なかったのは残念だったが…
これで良かったのだよ。これで命の山も、大丈夫だろう。」
と、安心したのでした。
ですが、この騒動は、さらなる波紋を呼ぶことになったのです。
続く~第四章へ~
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