#6 限界
もう、あたしは、ダメだ。
地面が僅かに振動する。列車が来た。まだ遠くて小さいけどいずれぶつかりに来る。
衰弱したあたしは足を上げてレールから抜け出す気力すらなかった。
「…………」
ああ、これで、林田万理は終わるんだ。せっかく新たに生き甲斐を見つけたのに。佐古と付き合っていた頃、花江ちゃんを育てていた頃の様に、当時の生きる幸福感をバイクで味わえた。それなのに、母、菜津の傲慢な仕返しが。いや、菜津と姉の比奈の醜い姉妹争いが生んだ悲劇があたしを呪わせた。何の罪もない被害者だ。
振動が大きくなってくる。足元には死の地響きが鳴る。
瞬間、身体が大きく横に揺れた。衝撃があった。理解した。誰かがあたしを助けたんだと。線路のレールを抜け出し草むらにあたし達は突っ込んで回転した。
「かああ、いってーな」
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