ラスト・ラグナロク

梵天

第1話

 僕は魔法が使えない、魔法の使い方が分からないのだ。

 家庭は名門貴族だから、魔法が使えない落ちこぼれの子供をずっと置いておくなんて汚点プライドが許さないだろう。


 かといって自分の気高い血が入っているとか言ってる兄と妹を溺愛している父が、 僕のような汚点を生かしておくとも思えない。

 僕カイム=エディブラムは異端児でもある、父、母、兄、妹が金髪の光属性なのに対し、黒髪の闇属性、しかも見たことがない黒目だ。


 何故気高いか、それは光の勇者の血が入っているの末裔だからだ。

 それぞれの属性の勇者が昔魔王を倒したらしいが、現代にいたるまでに六英雄とか言って、属性英雄をもてはやしている。


 闇属性はボックスと呼ばれる誰でも影にアイテムを収納できる誰でも持っている属性だ。

 でもボックスすら開けない僕は学園の保護がなければ父に殺されているところだろう。


 学園での僕は剣技と勉学の成績は常に成績優秀だ。

 外見も母親譲りで悪いわけではないが、落ちこぼれってわけで、幼馴染さえいない。


 魔法が使えない生徒が魔法学園になんでいるのか?なんてよくいじめっ子には笑われる。


 石畳の床を進み、更衣室で軽装備に着替え、腰に長剣を装備する。


 今日は夏休み前の長期合宿訓練初日だ。

学園五年目の一六歳にもなれば朝飯前の準備確認だ。


 一週間かけてリングラッドの森と呼ばれる、中位ギルド簡単に説明するなら一般クラスのギルド員が依頼を受けるギルドで、学校が用意した物品回収が今回の目的。ルールは四人一組のパーティーを戦闘不能にしつつ、どれだけ早く提示されたポイントの高い物品を回収して提出できるかだ。


 実践方式なので無論怪我人もでることは承知でやっているが、僕とパーティーを組んだら皆哀れだ。戦力が一人減る。

いくら剣技ができるといっても魔法の威力には到底敵わないのだ。


 魔法を使ってくる魔物もいる。

魔物とは魔法を使う為に使用される魔力を保有し、魔法を使用してくる生物の総称だ。


 森の入口だが比較的安全な南側に到着して、今回の実習責任者。マニガ=ルムレッド先生が発言する。

 外見は赤毛のくせ毛でつんつんとしていて背中まで長い。

 目はエメラルドグリーンだ。顔が整っているが、悪戯好きでよく男子からも女子からも嫌がられている、

 今日は真面目にだらしない服装ではなく、軽装備をつけているのでどことなく安心感を覚える。


「皆いいかー。危ないと思ったら逃げろ。以上!」


 シーンとする。事前にルール説明受けてなかったら何するのか分からないまま行動だったよね?

 危ないと思ったらってことは悪戯好きのマニガ先生のことだから、トラップ色々仕掛けてそうだ。


 僕は集合までに時間があるので、素振りをして身体を温める。

急に動いて怪我をして足をこれ以上引っ張りたくない。



「おい。カイム」


「あ、よろしくお願いします。メンダーさん、リントさん、アリアさん」


 声をかけてきたのはメンダーだ。

成績総合は中の上くらい。

茶色の髪の毛はツーブロックで目はつり目で青い。家系が騎士というのもあって代々受け継いでいる長剣を愛刀にしている。


 リントは貴族の中でも特殊で医者の家系で将来は親の後を継ぐ程将来が期待されている、緑色の髪はショートで目も緑色である。


「メンダー、いちいち忠告も必要ないよ。時間の無駄だ」


 その通り僕にどんな言葉を掛けても無駄だ。


「ワタクシの邪魔だけはしないことですわ」


 アリアは水の勇者の家系で、アリア=サーペンティア

水色の髪でツインテールで人形のような造形美をしている。

成績も上の中くらい。


「分かってます」


「なら、よろしくてよ。決して前に出ないで下さいませ。邪魔なので!」


「ごもっともです」


 メンダーが開始合図を聞き、号令をかける。


「行くぞ!」


「なるべく上位目指そうよ」


「カイムがいるのが難点ですけど、ワタクシがいるのですから、問題ありませんわ」


 申し訳ない気持ちになりながら大樹の生い茂る合宿会場に入った。

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