そんな備えんな

@tetoteto-tenko

第1話 自己紹介に備える

備え-そう、きっと備えこそが人生における勝利への基盤


真理は持ち主を選ばない、「備え」という勝利の哲学が入学式を終え、明日の自己紹介に悩む女子高生、大海老天呼のもとに舞い降りた。


(高校生、1つ人生のフェーズが進んでもはじまりは毎度変わらない自己紹介、なりたて女子高生に紹介する自己なんてないっての!)

(そう、私はこれから時間をかけて成るんだよ。)

(無難な紹介だけならまだいいけど、中学生から急に生まれた新顔合わせの時の「休みの日何してんの?」ってなんなんだよ!)

(品定めなのか、興味なのか、共通点の模索なのか、何にせよ休日より平日の方が顔合わせてる時間遥かに長いのに、休みの日のことて、知りたすぎだろ、私のこと。)

(私は花の女子高生、クラス全体で異世界転移とか、ギャンブルの勝ち負けで格差ができたりとか、学校自体が天才を作り出したり愛を知る為の実験場の可能性もあるし、自己紹介と挨拶くらいは備えとくかなぁ。)

(なんか予感するし、備えとけば全部上手くいく気がする。)

(中学卒業から高校入学までの休み、昼に起きて中華チェーンか冷食麺か袋麺を食べて漫画かソシャゲか二度寝、夜は民度の低いオンラインゲームかVtuberのエッチなASMRを聴いてエロシナリオライターになる為の勉強、いや終わってんのか?)

(許される誇張表現の範囲ギリギリで料理と将来の為の勉強かな、勉強だけだと結果の低空飛行ぶりをつつかれると面倒だし。)

(いや、どっちも部活と紐付いて誘われるとゲロか!?)

(相手が本好きじゃないことを祈って、えっちなプライズフィギュアが目的だけど、古本屋巡りが無難かなぁ、相手も程よく無関心なことの方が追及されないだろうし。)

(後手まで防いだわりかしいい結論かも、今後人生レベルで休日への質問を憂うことないまで見える。)

(ふふ、急な閃きだったけど、備えか、究極の先の先、次の備えは明日に備えての昼寝かな。)


異世界もギャンブルもバトルロイヤルも、どんなファンタジーも起こりうる無限荒野高校生活、備えが勝つか無限の事象が勝つか。

神から勝利の哲学を授かった独り言の激しい15歳の平坦な3年間が始まった。

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