わたしが料理をする理由

西しまこ

料理好きの母親に憧れていました

 わたしが料理をする理由。

 それは、おいしいものが食べたかったからです。


 しまこの母親は、料理が微妙な人でした。

 焦げていたり生煮えだったり。

「わたしがお弁当を作る理由」https://kakuyomu.jp/works/16818622176565366503

 にも書きましたが、お弁当は自分で作っていました。高校生のころからずっと。褒められたことはありません。むしろ怒られていました。

 食材を勝手に使ったとか片付けをしていないとか(まあこれはわたしも悪いです)。


 中学生の頃、透明なタッパーに白いごはんと冷凍の小さなハンバーグ(ソースなし)が左に偏って、半分くらい空白で入っているお弁当を見たとき、わたしは自分でお弁当を作ることを決意しました。

 そして同時に、冷凍食品を憎むようになりました。

 その冷凍ハンバーグ、おいしくなかったのです。


 ゆえに、わたしは冷凍食品を買ったことはありません。

 今に至るまで。

(ミートボールは買いますが、あれは冷凍食品に入れなくていいですよね?)


 噂によると、今では冷凍食品も進化して、かなりおいしいのだとか。そしてお弁当に入れると便利なのだとか。

 なるほど、とは思うし、使ってみてもいいかなとは思うけれど、どれがいいか探すのも面倒なので、結局使わないままです。使わなくても別に困っていないので。

 お弁当は、前日の夜ごはんの残りを入れられるならば、そうします。隙間はハムとかミートボールとかソーセージとかチーズを入れます。卵焼きは必ず入れます!


 わたしは料理上手な母親に憧れていました。

 わたしの友だちには、そういう母親を持つ子が何人かいて、ほんとうに羨ましかったです。おうちにお邪魔してごはんをいただくと、出汁の味が効いた食事が出て来るのです。

 わたしはコロッケを家で作れることを知らなかったし、パスタソースは缶のものしか知りませんでした。

 ロールキャベツに憧れて、母親に作って欲しいと言ったら「そんな難しいことは出来ない」と言われ、ホワイトソースのパスタも「作れない」と言われました。


 どうしても食べたかったので、自分で作ることにしたのです。

 ただし、「大匙1ってあるけど、大匙って何?」と母親に訊くと、カレースプーンを差し出され、「料理本にある通りに作っても、味が決まらない。なんか薄い」と思って自分で調味料を足したりしていましたが(笑)。或いは、わたしには買い物する権利がなかったので、「牛肉が欲しい」と言っても「あるもので作らなければ、料理が出来るとは言えない」と言われ、そのように料理しなくてはいかなかったということもありましたが(おかげであるもの料理は非常に得意だ!)。

 わたしは実家で料理をしていたわけですが、父親はおいしいと食べてくれたのですが、母親には「こんなに材料使って作ったらおいしいに決まっている」と言われていました。


 一人暮らしをしたときの爽快感!

 一人だけのごはんの準備はとても楽でした。

 それに、好きなものが買えるのも、すごく嬉しかったです。

 食材に凝り始めたのはこの頃です。食器にも凝り始めました。

 今、四角の大皿を気に入って使っているのですが、それも一人暮らしのときに買ったものです。


 実は陶器も大好きで、ロイヤルコペンハーゲンとかウェッジウッドのティーセットもあるのです。大好きなんです!

 しかし、日常に埋没していて、なかなか使えていません。

 息子たちも大きくなったし、まったりティータイムをもてるようにしてみたいな。



 ともかく、わたしは自分が料理好きの母親に憧れていたので、息子たちにはおいしいものを食べさせたかったのです。それは特別なときの料理ではなくて、毎日のごはんがおいしいことを意味します。高級食材でなくていい、毎回手が込んでいなくていい。毎日、笑って「おいしいね」って食べられる食卓でありたいと、心から願っていたのです。


 そしてその思いは今も続いています。

 同時に、大きくなった息子たちにしてあげられることは、おいしいごはんを作ることくらいしか、もうないのかなと思ったりもするのです。そして、そのことが、子育ての中で一番大事なことなんじゃないかなとも思っています。




    ☆彡おしまい

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わたしが料理をする理由 西しまこ @nishi-shima

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