第2話「サリアとセイヌ」

慣れない階段で建物を急いで降りていく。


途中兵士たちとすれ違い逃げるように言われるが去っていく後ろ姿を見るととても悲しげな気持ちを感じられた。


何で知らない女騎士と二人で階段を下りていってるんだろう。


しかも自分はお姫様みたいだし、この先に未来はあるのかと思っているとお城の裏側に到着した。


城内の後ろ側から外へ出ると外の門番たちが馬を用意していた。




「サリア姫、お早く」




サリア姫?誰のこと?と思ってると女騎士である女性はもう片方の馬に乗り込んだ。




「…でも私、馬に乗ったことがなくて」




「サリア姫、前に私と馬の練習したことを思い出してください。あの感覚で乗れば大丈夫です」




「え、えっ」




サリア姫が困ってると脇の茂みから何かが出てきた。




「魔物だ!! 俺は門番なんだ、戦うのは御免だ」




そう言うと門番はお城の中に逃げて行った。




「くそっ!」




女騎士はサリア姫に近づこうとしている魔物を倒そうと背中に仕舞い込んでいた剣を取り出し戦おうとした。


魔物はぷあぷあと鳴いている。




「この邪悪な魔物め!!」




女騎士は魔物に剣を振りかざすと目の前にいた魔物は消えそこだけ平和が訪れた。




「ここだけ倒せても意味がない。城内にいる群れのボスを倒さない限りこの戦いは続く」




「あ、あの」




「待たせてしまったことをお許しください。私が馬に乗れるように手助けいたします」




サリア姫はまだ馬に乗っていなかった。


突然の魔物、逃げてしまった門番、そして戦ってくれた女騎士。


全てのことに驚いてると女騎士はサリア姫に手を差し出した。




「サリア姫、お手を」




「…貴方は私のことを命をかけて守ってくれた。その事はこの生涯に一生記されることでしょう」




サリア姫の温かさに触れると女騎士は微笑んだ。




「いつまでも名前を呼ばないのは申し訳ないわ。貴方の名前を教えてちょうだい」




「サリア姫、小さい頃に初めて会った時にお伝えしましたよ」




「魔物やらの騒動で混乱していて名前が出てこないのよ。また親睦を深める事としてもう一度教えなさい」




「…困ったお姫様ですね。私はセイヌと申します」




女騎士の名前がセイヌと分かるとサリア姫は再び手を握った。

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