第2話 あざむき②
「パパ、最近日曜日によく出かけて行くよね。何してるの?」
わたしはパパがいない寂しさに耐えきれず、思いきって尋ねた。わたしの苦しい気持を知らないのだろう、パパはにこやかな顔で「ああ、大学の同期や経営者仲間でドローンの愛好会を作っているんだ。これからR公園で飛ばすんだよ」と言った。
「ふうん……ドローンだったの」
わたしはパパが出かけた後、思い切ってR公園に行ってみることにした。さすがに小学生ではないのだから、公園に一人で行くくらいどうってことはない。ただし、パパには見つからずに見ていたかった。
わたしが公園に着いた時、パパの「お仲間」はもう何機ものドローンを空に浮かべていた。ドローンを操っている「社長さん」たちは年齢も見た目もさまざまで、中にはかなり年配の男の人もいた。……でも、わたしからするとパパが一番、貫禄たっぷりに見えた。
「――ん?」
パパを含めて六、七人ほどのドローン操縦者の中に、一人極端に華奢で小柄な人がいるのをわたしは見逃さなかった。
――女の社長さん?
わたしはどぎまぎした。その人はサングラスをしてアームカバー、ネックウォーマーと完全防備で操縦を楽しんでいたが、わたしには人目につきたくない人間がする変装のように思えた。
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