こんな【さるかにがっせん】はイヤだ。

レッドハーブ

こんな【さるかにがっせん】はイヤだ。

むかしむかしのおなはしです。

あるところにかにが住んでいました。


ある日のこと…かには道ばたでおむすびを見つけました。どうやっておむすびを運んだかは不明ですが、おむすびを家にはこんでいる途中、さるに呼びとめられました。さるは柿の種を持っていました。


「カニさんよ?この柿の種とおむすびをとりかえっこしない?」

「柿の種?」

「そうだよ、柿の種!びーるにも合うし、土に埋めて育てるとたくさんの柿がなるんだ。そのうち柿食べ放題になるよ!!使い方はいろいろだ!」


さるの口八丁により、かにはおむすびと柿の種を交換してしまいました。

かには家に帰ると、柿の種を庭にまいて毎日水をかけてやりました。


「はよぅ芽を出せ、柿の種。出さぬとはさみでちょんぎるぞぉ」


かにが歌うと、みるみる芽が出てきました。

うれしくなったかには、さらに歌いました。


「はよぅ実よなれ、柿の木、ならぬとはさみでちょん切るぞぉ」


すると、あっというまにたくさんの実がなりました。

ところが柿は木の上です。かには木登りができません。

困っていると、いつぞやのさるがやってきました。


「おいしそうな柿がたくさんできたね。おれが登って取ってきてあげるよ」


そう言ってさるは、木に登ると柿をぜんぶ取って食べ始めました。


「お~い!自分ばかり食べないで、早くこっちにもおくれよぉ」

「うっせぇ!これでも食っとけや!」


さるはしぶ柿を思い切り投げつけ、かには大ケガをしてしまいました。

けがをしたかにに子どもたちが寄ってきます。


「母さん!大丈夫!?」

「なんて奴だ!あんのくそざるぅ~!」

「おりてこいやぁ!!」

「へへ~んだ!そんじゃな!おしりぺんぺん!」


そういって、さるはどこかへ消えてしまいました。


「あ、まて!!」

「このままじゃ、母さんが不憫ふびんだ…!どうする?」

「決まってるよ、報復かえし…するんだろ?」

「あたりまえだ!」


かにの子どもたちがお母さんの復讐に立ち上がり、友だちのうすさんとはちさんとくりさんとくそさんに応援を頼みました。


ひそひそ……ひそひそ……


作戦会議がおこなわれました。聞くところによると、さるは何度も出入りする家があるそうなので、そこで待ち伏せすることにしました。


そして…


さるのいない間に家に隠れ、さるが帰ってくるのを待ちました。

しばらくして帰ってきました。家に入ると、さるはいろりの前に座りました。

その時です、焼けた栗がさるの顔にあたりました。


「あちちち!やばいやばい!みずで冷やそう!」


さるはあわてて、水の入ったおけのところに行きました。

すると今度は蜂が飛び出し、さるの体中を何度もさしました。


「おらおら、おらおらおらおらおらぁ!」

「いたたたた。これは…やばい!」

「いまだ!子がにくんたち!!」

「「「 わあああぁぁぁ! 」」」


今度は、子がにたちがいっせいに下から出てきてきました。

そして、さるの体によじ登り、はさみで毛や肌や耳を切り刻みました。


「いたたたた。この家…なんかやばい…!」


語彙力ごいりょくとぼしいさるは家から飛び出すと、玄関先ですべって転んでしまいました。そこには仲間のふんがいたからです。


「うわああああぁぁ!」

「くそやろうは…くそにまみれな!HAHAHA!」

「こいつら、やばい…!なんて、ちーむわーくだ…!」

「これで終わりじゃないぜ!?…いまだ!うすさん!」


今度は大きなうすが屋根の上から、さるの上に落ちました。


DOSSIIIIIIIIIIIIIIN!!


大きな臼がさるの背中にのっかりました。


「がは…!おれの、らいふぽいんとは…ぜろだ…!」


さるは身動きひとつとれません。うつぶせの状態で倒れているさる。

家の中にいる蜂や子がにたちからは、さるの赤いお尻が丸見えです。

蜂はお尻の針を出して言いました。


「おれは…あそこへ特攻する…!!」

「蜂さん!?蜂さん…!!」


ぶううううぅぅぅぅん………ちく!!


蜂さんの毒針はさるの大事なところにくりてぃかるひっとしました。


「ぎゃああああ!いってえぇぇぇ!これ…おーばーきる、だろ…」


筆舌ひつぜつしがたい痛みに…さるは気を失ってしまいました。



ずっと目を覚まさないので、しびれを切らした臼が、ぐっつぐつの熱湯をかけました。するとさるが目を覚ましたので、みんなで詰めよりました。


「どうだ。悪いさるめ。かにさんにあやまれ!!」

「またくそにまみれたかったら…また悪さしな、HAHAHA!」

「次さぁ、悪さしたらさぁ、餅つき大会な。材料はおまえな」

「今度お母さんにいじわるしたら…おまえの首と胴は泣き別れだ…!」


子がにたちは、腕のはさみをちょきちょきしながら言いました。


「ひいいい!ごめんなさい。もう悪さしません…たぶん」


「「「「 たぶんじゃねぇ!!ぜったいだ!! 」」」」


さるさんは、泣いてかにさんにあやまりましたとさ。

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