第22話「麦畑を守る戦い:後編」
#第22話「麦畑を守る戦い:後編」
次の日、私たちは魔物の討伐に向かった。
私達ヴェルド領の騎士団はハーベル領の騎士団と合同で小型魔物の群れを迎え撃つことになっている。一方でリヴェル領の騎士団は強力な中型魔物の討伐を担当する。
そうして私たちの戦いが始まった。確かに300頭以上はいそうだ。しかしながら我が騎士団なら問題ないだろう。私はルカとは少し離れたところで小型魔物を迎え撃った。
私は次々に魔物を魔法で討伐した。かなりいい感じだ。ルカに教えってもらった魔法トレーニングで私の魔法制御も上達した。コントロールが良くなったので撃ちもらしがない。順調に魔物を討伐できている。これならルカにも自慢できるだろうか?
そんなことを思いながらルカの方を見てびっくりした。何とルカは魔法を積極的に使わずに騎士団を統率していたのだ。
敵の動きを見て的確に指示を出し、危険な場所があれば魔法でカバーする。もしくは危険な場所に対する指示を出して討伐していった。
私のやり方、従来の魔法使いのやり方とは全く異なる動きだった。私は魔物を的確に、そして少しでも多くを焼き払うことに集中していたがルカは全体を見て動いていたのだ。
そして気付いた。私はまだ魔法使いとしての固定概念に縛られていたのかもしれない。ルカは全体を俯瞰して危険を察知して動いている。自分の成果よりも全体の成果を考えているのだ。
確かにその方が良いかもしれない。そこで私もルカの真似をしてみた。魔物の進行方向、味方の布陣、危機が迫りそうな箇所。
それらを総合的に判断して魔法を集中させれば……当然のことながら全体的な危険が少なくなる。これで簡単に被害を抑えられた。
周囲からも「リリア様、見事です!」「リリア様、ありがとうございます!」と声がかかる。
またルカには教えられた。私も魔法が上達して少しは自慢できるかと思ったがまだまだだったようだ。
そうして討伐は完了した。けが人も少なく、ほぼ完勝だった。そしてルカの動きにはノアも驚いたようだ。尊敬のまなざしのような目で見ているような気もする。あれは危険な兆候だが……今はそんなことを考えている場合でもない。
その後は急いで中型魔物「ヴァルモール・ベア」の討伐に向かっていたリヴェル領の騎士団に合流すべく動いた。
しばらくして中型魔物ヴァルモール・ベアに対峙するリヴェル領騎士団を発見。
どうやら中型魔物ヴァルモール・ベアは2頭いたようだった。すでに一体は倒したようだ。あとはもう一体。リヴェル領の騎士団がヴァルモール・ベアを囲んで牽制している。
ヴァルモール・ベアは恐ろしい。その放つ圧が、遠く離れた場所にいる私たちにまで届く。これだけ離れているのに足が震えそうになる。
「撃つぞ!」というシルヴィの声と共にヴァルモール・ベアを取り囲むリヴェル領の騎士団が離れて魔法を撃つ射線を開けた。
しかしやや射線を開けたのが早かったか?
するとヴァルモール・ベアは危険を察知したのかシルヴィに真っ直ぐ突進していく。シルヴィは魔法を撃ったが焦りからかやや逸れた。肩口に当たりえぐれたがヴァルモール・ベアは止まらない。
これは危険だ。2発目は間に合うのか?と思った瞬間だった。
ルカが近くにある葉っぱを魔法で動かしヴァルモール・ベアの顔に貼り付けた。ヴァルモール・ベアはよろけながらも葉っぱを剥がし怒って大きく立ち上がって吠えた!凄まじい圧だ。
しかしそれは大きな隙でもあった。シルヴィが2発目の魔法を撃ちヴァルモール・ベアは顔から上を失って倒れた。
「やった!」「うぉー!」「さすが天才魔法使い!」「やっぱりシルヴィ様だ!」と沸き立つ騎士団。
シルヴィが魔法でヴァルモール・ベアを討伐。どうやらこれで完全に終わったようだ。
それにしてもルカの見事なフォローだった。あれがなければ、シルヴィですら危なかったかもしれない。やはりルカの戦況を見渡す目は凄い。私はただ見るしかできなかった。反省点ばかりだ。
こうして、合同討伐は成功に終わった。
私も確かに戦ったし大きな成果もあった。
でも、やはりうちの騎士団で一番成果を上げたのはルカだろう。ルカには魔法使いとしての常識、固定概念がない。だから騎士団全体として最も良い方法を模索する。
私は魔法トレーニングなどで常識にとらわれてはいけないとルカから教えてもらっていたはずなのに……やはりその固定概念が抜けていない。ルカのように騎士団全体を見て魔法を撃つ工夫は今後もやっていく必要があるだろう。実践を重ねてもっと良い形にしていこう。
本当にルカには学んでばかりだ。
私はまだ駄目だ。ここ最近は認められることも増え慢心していた。これでは駄目だ。次の戦いではルカには負けないように……努力あるのみだ。
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