先生、愛を教えて

夏路

第1章:脚のない少女

テストの採点が長引いた。

帰宅はもう深夜0時近い。

人気のない夜道。街灯がぽつりぽつりと灯り、静けさが耳を締めつける。

汗の染みついたシャツに風をおくりながら

僕はただぼんやりと、

「冷蔵庫に何が残ってたっけ」と考えていた。


ご飯を炊くのも、惣菜を温めるのも面倒くさい。

結局、コンビニに寄ってしまおうか。

そんなことを考えながら、薄暗い住宅街を歩いていた。


……何かが、ある。


いや、いる?


最初は、街灯の下に落ちた影だと思った。

それは、少し大きめの犬のような、人のような、でもどこか違う“何か”。


距離が縮むたび、僕の中に引っかかる違和感が大きくなる。

まるで糸で引っ張られているような感覚――

僕はただ帰ろうとしているだけなのに、足が自然とその方向へ進んでいた。


見えてきた。


それは人だった。


……いや、人ではない。


「脚」がなかった。

膝から下が、ごっそりと無かった。

なのに、血が一滴も出ていない。


マネキンかと思った。

だが違った。

肌は白く、透き通るようだった。黒髪は背中まで滑り落ちている。

鼻筋は整っていて、唇には色がない。けれど、どこか柔らかそうだった。

胸元の膨らみは、まだ少女と大人の境界線にあるような、そんな形。


“脚”があれば、きっと150センチを超えていただろう。

でも、今はただ地面に横たわるように、彼女は100センチほどで、僕を見上げていた。


その場に立ち尽くした僕の中で、何かが狂い始めていた。


怖くて動けなかった?


いや――違う。


……股間が、熱くなっていた。


そんな趣味はない。

死体愛好家でも、障害フェチでもない。

だというのに、僕の中に沸き上がった感情は、恐怖でも不快でもなく――


「これは、恋なのか?」


彼女はただ、僕を見ていた。

その瞳の奥に、僕は“何か”を見た気がした。


僕はそっと彼女に手を伸ばす。

その身体は、冷たくもなく、熱くもなく、ただ、軽かった。


抱きかかえると、彼女は僕の背に腕を回した。

ああ、帰りたかったんだね。ごめん、遅くなって。


……帰ろう、僕たちの家に。


そして僕は彼女をベッドに招いた。


僕は汗が染みついたシャツと、粘液が絡みついたパンツを脱ぎ、彼女に向き合った。

彼女の髪に触れ、唇に触れ、女性らしい乳房に触れ、彼女の大事な部分に触れた。

触れれば触れるほど、僕のモノは大きく大きくなって、脚のない彼女を壊したいと呟く、僕自身の戸惑いに見向きもせず。


彼女に入る。彼女は表情も変えず、声も出さず、僕を受け入れる。

あぁ、壊したい。君を壊したい。

彼女というガラスに、僕の金槌が何度も何度も振り下ろされる。

とても身軽な彼女の抱えて、何度も上下する。

愛してる…愛してるよ…

彼女の中に僕の愛が満たされていった…




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