第1章 ここは…
外がやけに賑わっている。沢山の人々の声が、休まず聞こえる。私はゆっくりと目を開けて体を起こした。私は当たりを見回して、とても驚いた。高層ビルが隙間なく建ち並び、人々が笑い声と共に流れて行き、そして、、空中で、電車が通っている。
「ここは何処?」
未だに状況が飲み込めない。夢?夢にしては出来すぎてるような。
―確か昨日お父さんに起こされて、その後は…。
「思い出せないな」
ここは何処?まるで未来みたい。ここは日本なのかな?私はゆっくりと立ち上がり当たりを見回した。そしてとりあえず目の前の高いビルに入り、中を散策する事にした。ビルの中は沢山の人々で賑わっていて、ここはビルというより一つの大きなショッピングモールの様に思えた。私は中を見るなり思わず仰天してしまった。
「なにこれ…」
ビルの真ん中にある真上から地下まで続く一本の大きな木が、このビルを支えている。そしてあちらこちらに、透明ガラス張りで色彩豊かなエレベーターホールがある。余りにも巨大過ぎて圧倒されてしまった。私は少しウキウキした気分になった。近くにあったお店を見ると、「Rumor」と書いてあり、表記は英語だった。私はホッとし、外にある大きな公園で少し休憩にする事にした。「Central Park」と呼ばれるこの大きな公園はニューヨークのセントラルパークにそっくりで、沢山の家族連れや犬やロボット?を連れて散歩をする人で賑わっていた。私の視界に入る全て物がキラキラと輝いている。何て魅力的な街なんだろう。未来の日本はこんな感じなのかな?私は不思議と、今の状況を少なくとも理解し受け入れていた。
「君、迷子?」
私は突然声をかけられ、ハッとした。後ろを振り向くとそこには2人の男性が、私に向かって微笑んでいた。
「1人では少し危ないよ?パパやママは何処にいるのかな?」
「えっと…」
私は何を言って良いのか分からず、俯く事しかできなかった。
「君名前は?」
「沙羅です…」
「何処出身?」
「東京です」
するとさっきまで和かな笑顔だった男性2人は、深刻そうな顔つきになり、何やら真剣そうに話している。
「少し僕達に着いてきて貰えるかな?決して怪しい者じゃないから、心配しないで」
いつの間にか、笑顔に戻った男性2人は、私の手を握った。私は怖くなってきた。何をされるかわからない、つい名前も出身地も言っちゃったし、ここは私の知らない場所。このまま着いて行ったらきっと…。私は今にも駆け出そうとしていた。その時…
「あれ沙羅?」
知らない男性の声が、私の名前を詠んだ。私はとても驚き、声のする方を向いた。すると、1人の男性が私に近づいてきた。
「ずっと探したんだからな、今まで何処に居たんだよ」
「あっ…えっと、、」
「まぁ見つかったんだからもう良いかwww」
男性は、何やら男性2人に説明している。男性2人は、男性の説明に納得した様子で、意外とすんなり帰って行った。私は訳が分からず、その場に立ちすくんでいた。
「危なかったな、沙羅ちゃん」
「どうして私の名前を…」
私は少し男性と距離を置いた。
「そんな怖がらなくて良いよ、さっきの話聞いてたんだよ。僕耳が良くてね」
「いやーでも災難だったね〜でももう大丈夫だからね」
「あの人たちは一体?」
「Zの人たちだよ」
「Z?」
「沙羅ちゃん知らないの?」
「まぁ、、」
私は苦笑した。
―私はこの時代の人じゃないんですって言えないに決まってる。
「怪しい人とかを見つけて、取り締まる組織のことだよ」
「えっ私怪しかったですか?」
「うん、結構怪しかったよw」
「確かにこんな都会で、1人出歩いてるのは怪しいに決まってますよね、、」
「こんな所じゃあれだからさ、何処か寄らない?」
「えっ?」
「素敵な所ですね〜」
私は今まだ出逢ってから数分しか経っていない男性と2人で、デートしている。男性に連れられて来たのは、湾岸沿いのテラス席のあるカフェ。私達はAIロボットに奥のテラス席へと案内された。
「僕のお気に入りのカフェなんだ」
―この時代にもカフェはあるんだ。
「さてさっきの話をしようか」
「はい!」
思わず大きな声が出て、男性は微笑んだ。私は少し恥ずかしくなった。
「さっきあの人たちに何聞かれた?」
「えっと…名前と出身地です」
「沙羅ちゃんはなんて答えた?」
「沙羅ですって言って、、東京ですと答えました」
すると男性は不敵な笑みを浮かべている。何やら楽しそうだ。
「何かおかしいですか?」
「あぁかなりww」
「えっどこがですか!?」
「沙羅ちゃんは、東京と答えたよね?自分の出身を東京という人は、数少ないんだよ」
「そうなんですか…?」
「うん」
ーじゃあここはどこ?日本の首都って東京じゃないの?
「ここはNeon tokyo郡2ndだよ。およそ20年前から東京はNeon tokyo郡と呼ばれる様になって、出身を東京と呼ぶのは今の30代以降の人達だけだよ。沙羅ちゃんはまだ学生ぐらいだから、東京と言って、Zの人も嘸かし驚いただろうな」
「なるほど…」
じゃあここは今何年なんだろう?かなり未来なのかな?
「えっと一つ質問しても良いですか?」
「いいよ」
「ここは今何年ですか?」
男性は驚いた表情をしている。
「今は2070年だけど…」
「2070年…て、えっ!?2070年ですか?」
「そ、そうだよ?」
私は2007年に生まれて、最後に父と会話した年は2023年だった。て事は、ここは67年後って事??えぇ―凄い未来じゃん!!
「えっと、、こんなことは信じたくないんだけど、僕からも一つ質問しても良いかな?」
「はっはい」
「沙羅ちゃんはもしかして、タイムリーパーなの?」
それを聞き、私は一瞬固まった。バレた?バレたの?いや、でも正直に話すのはな〜。でも話したほうが良いのかな?この人なら信じてくれそう。さっきの話できっとこの人も、確信したんだろうな。
「私はタイムリーパーです。目が覚めたらここにいて」
私は思い切って、真実を話した。人に嘘をつくのは、昔から苦手だ。
「そっか、、うーん」
男性は何か考え事をしている。やっぱ言わない方がよかったかな?もし嫌われたらどうしよう?行く当てもないし…
「よしっ!」
男性は突然大きな声を上げながら、立ち上がった。
「ど、どうしたんですか?」
「僕良いこと考えた!」
「良い事ですか?」
良いことってなんだろう?
「僕の家に来ないか?」
「えっ!?今からですか?」
「さっ行こう!!2ndcenterラインはいつも混むからね」
「ちょ、ちょっと待ってください!!」
私は今名前も分からない男性に、何故か振り回されている。
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