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茉耶の「李玖に聴いてもらえて、よかった」
──そのLINEを見たあと、
すぐには返せなかった。
何を返せば正解なのか、
自分でもわからなかったから。
ソファの背にもたれながら、
ぼんやりと天井を見上げる。
言いたいことは、山ほどある。
でも、
言葉にすれば全部が壊れてしまいそうで。
そんな中、
何度も書いては消してを繰り返した末に、
ようやく送ったメッセージは、たったひとつ。
《李玖》
「次の曲も楽しみにしてる」
送信ボタンを押したあと、
少しだけ心臓が跳ねた。
ほんとは、
次は俺のこと、書いてって言いたかった。
──“特別”になりたい。
彼女にとって、誰よりも近くにいたい。
気づかれたっていい。
気づかれなくたって、それでも。
この気持ちは、少しずつでも
茉耶に届いていってほしかった。
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