そこに

壱原 一

 

毎晩の この刻によく ドアが開く

お邪魔しますと 声が聞こえる


清風に 揺れるシーツと 地の隙間

土に塗れた 林立の足


庭先で はしゃぐ孫らの 一が

見る間に 縁の下へ呑まるる


ペン落とし ころころと 床の隅へ逃ぐ

ころんからからと 帰って来る


欠伸して 壁と向き合い 横たわる

間近でひたと 目が合っている


明け方に 額へ やわい手が触れる

すり抜けて 頭の中を撫でる


子が巣立ち 偶に空気を 通す部屋

時折ノブが 中で抗う


荷物手に ここへ判をと 言われつつ

頻りに足元へ 笑まれる


鈴生りに 覗く影差す 軒の先

見上ぐ直後の 病床の中


新居にて どなたからなのか お裾分け

鍵開けた 玄関の三和土に

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

そこに 壱原 一 @Hajime1HARA

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画

同じコレクションの次の小説