第2話 プレゼンの愚痴

「う~~ん。裕太、大好き。ウフフフ」

「私だけの裕太~。エヘッ、エヘッ、エヘッ、」

ここら辺で、サチ子とやっと目が合う。

「ひゃ~~っ。」サチ子は少し起き上がりながら、「裕太、お、おはよう。今起きた?」

「いいや、だいぶ前から。」

「ヒャッ。」サチ子は布団に潜り込んで丸まってしまった。「なんで、そんなに早く起きてるの。まだ、6時よ。」

「サチ子ってや、毎朝あんなことしてたん?」サチ子と一緒に布団に潜り込んで「俺の頭をナデナデしながら、あんな恥ずかしいこと毎朝ゆうてたん?」

「してない、してない。寝ぼけてただけ。寝言よ、寝言。」

「ええよ別に。大丈夫やで。」布団の中のサチ子の顔に顔を近づけて「俺もサチ子のこと大好きやから、お相子やん。俺のサチ子、大好きやで。」

「キャーッ。裕太、大好き~。」俺に抱き着いてきた。「裕太、裕太。今日は何時に出勤?」

「え~っと、いつも通り、7時15分出発やで。」

サチ子がキスしてきた。「ねっ、しよ。ねっ、しよ。出発まで1時間あるから、今からエッチしよ。」

「え~、今からか~。う~ん、どうしようかな。んなら、おっぱい、俺の口に押し当ててくれるか。」

「あ~、裕太、大好き。裕太の乳首も舐めてあげるね。最近感度いいしね」

急遽、朝からイチャイチャが始まったかと思ったら、一戦が始まった。ただ、幽霊であるサチ子は人間の俺に触れるが、人間の俺は幽霊のサチ子に触れない。だから、おっぱいに吸い付きたい時は、サチ子から押し当ててもらう。するとサチ子が胸で俺の口に触っている風になり、おかげで俺はおっぱいを味わえる。

「裕太、おっぱい舐めるのうますぎ~」サチ子は俺に跨って、「ねえ、もういい?していい?」俺の返事の前にサチ子は腰を降ろしてた。


「ふう~、朝のエッチは気持ちええな。」

「うん。気持ちよかった。朝から大きな声出したけど、ご近所さん大丈夫かな」

「大丈夫ちゃうか、サチ子のこと見えてるのは、この近所じゃ俺だけみたいやし。」サチ子のほっぺにキスするふりして洗面所へ向かう。

「えっ、もう準備する時間?」

「そやな。」

「朝ご飯はどうするの?」

「昨日の総菜の残りと納豆ご飯食べてくわ。」

「じゃあ、その間、私のエロボディを見る?それとも、いいことする?」

「あほ、そんなことしてたら、もう一戦したくなるやろ。遅刻してまうから早よ服着い。」

「え~、いいじゃん。遅刻しても」

「あかんやろ。それに今日は社内プレゼンあるから、頑張らなあかんねん。」

「あ~、それで今日は緊張で早起きだったのね。」サチ子はおれのワイシャツのボタンと留めながら「えっ、それじゃあ朝から疲れさせたかな?」

「いいや、大丈夫やで、サチ子の愛とともに力をいっぱいもらったから。」

「じゃあ、もっと、いっぱい力あげる。」せっかく履いたズボンのチャックを下ろそうとする。

「だから、今からしたら遅刻するっちゅうねん。」少し残念そうなサチ子へ「また、今晩な」

「えっ、うん。たのしみにしてるね。」

「ほな、いってくるわな」

「は~い、いってらっしゃーい。がんばってね。」


今日のプレゼンの資料を持って、会議室に向かっていると

「おっ、今日のプレゼン、気合が入ってるね。」

「あっ、部長。おはようございます。」

「頑張れよ。期待してるぞ。」俺の肩をポンと叩きながらご自分の席へ歩いて行かれた。

(あ~、部長、かっこええよな。あんな上司になりたいな~。期待されてるみたいやし、プレゼンがんばろ)



「くっそ、あんな上司に絶対ならへんぞ。」



「は~、ただいま」

「裕太、おかえり~」胸元が大きく開いたシャツと白いパンツルックでサチ子がお出迎えしてくれた。

「ん~、どうしたの?元気ないね。いい子いい子してあげようか?」

と言いながら、頭をナデナデしてくれる。

「今日のプレゼンの時にや~、あの部長がや~。」

「わかった。まずは、シャワー浴びておいで。さっぱりしてからゆっくり聞いてあげるから。」


「でさ~、今日のプレゼンでな。」今日のつまみに買ってきた餃子のパックを開けながら「始まる前は期待してるぞって言ってた部長がや、プレゼン途中から豹変しやがって。ったく腹立つ。」

「シャワー浴びてきたと思ったら、いきなりね。」バスタオルで俺の頭をゴシゴシしてくれているサチ子から「もう少し、順序だてて話してほしいな。」

「あっ、ごめん。ごめん。」ビールを開けて、餃子を一つ口にくわえながら「今日、大事な社内プレゼンがあるっていうてたやん。」

「うん。朝、言ってたね。頑張れるようにパワー注入してあげたもんね。」

「ん?順番がちょっとちゃうかな。パワー注入したあとにプレゼンのこと言うたような」餃子一つとビールを一口。

「細かいことはどっちでもいいの。結果が一緒だからいいでしょ。」

「あ~、そうやな。それでな、昼からプレゼンが始まったんやけど、そのプレゼンっちゅうのんが、来期の事業の方針を決めるプレゼンやねん。」

「うん、うん。それで。」バスタオルでの頭ゴシゴシが終わったサチ子は、ソファにふんぞり返ってる俺に対して、サチ子の定位置のテーブルの横にちょこんと座り直した。

「俺のプレゼンの発表も終わって、部長や役員たちの質疑応答の時間になったんやけど、部長がめっちゃ褒めてくれてん。」

「ふ~ん。いい感じ。何が問題なの?」

「ちゃうねん。それがな、社長が俺のプレゼン内容に対して『そこはこうした方がいいのでは、こっちはこうかな』って言うてん。否定じゃないで、どっちか言うたら、指摘っていうかアドバイスみたいな感じに。そしたら、さっきまで何にも指摘も意見もしてなかった部長が、『そうだ、君のプレゼン内容はそういうところがダメなんだよ。』っていいだしてん。」

「げっ。最悪~。」

「そやろ~。それにな、あ~だ、こ~だと的外れなことを散々言うた挙句に、『ですよね~社長』ってすんごい猫なで声でゴマすり100%で言いよんねん。」

「その部長さんも、そこまでよくやるね。」

「そうなんよ。別にな俺もな、最初から指摘とかいろいろ意見を言うてくれてんねんやったら、有難く受け入れんねんけど、社長が発言するまではそんな素振りさえ一切なかったのに、社長が指摘やアドバイスした瞬間に急に言うてきよんねん。もう、それが腹立って腹立って。」

「うん。うん。わかる、わかる。それで、はいはい、言って終わったの?」

「俺も腹立ったから、社長に対しては素直に話を聞いて、部長が同じこと言うても完全な戦闘態勢で反論バチバチで言い返したった。」

「あらら・・。」

「部長の野郎は、しょせんは自分の意見とちゃうから、俺に反論されたら言い返すことができんで、社長の方をチラチラ見とった。」

「それで、どうなったの?」

「プレゼンの会議が終わってから、部長に廊下であったんやけど、朝とは違って、ちょっと睨まれた。」

「そうなるよね。まさか、裕太が部長さんにだけ戦闘態勢バチバチで反論するとも思ってなかったんだね。」

「そやけど、悪いのは部長の方やん。あっそうそう、他のプレゼンした人に聞いたら、他の人の時も同じように部長は社長の意見に同調して攻めてられた人もおったみたいやで。まっ、部長に反論したのは俺だけみたいやけどな。」

「部長さんの方が悪いだろうけど、他の人たちは『ザ・サラリーマン』って感じよね。」

「そうやんな。あいつら『ザ・サラリーマン』か。サチ子、おもろいこと言うな。」

「う~んとね、こんな話があるのよ。会社員は会社から給料が出るから、会社の中の一部の人、例えば上司や社長を相手にしてればいいのよ。でもね、社長や経営陣、または個人事業主やお店の店主は無限に多いお客様からお金を頂いているので、無限に多いお客様を相手にしなきゃいけないの。もちろん、会社員の人も無限に多いお客様を相手にしているけど、所詮は会社の中の人だから直接のお金の出所でないので責任や関りはそんなに重くないのよね。そんなことも全部踏まえての『ザ・サラリーマン』って言ったのよ。」

「そんなん、俺も分かってるわ。けど、あの部長のやろうが・・・。」ビールをぐびっと。

「そうね。その部長さんはすごくひどいと思うわ。そんなひどい部長さんなんか放っておくくらいがよかったのかもね。」

「そうやけど・・・。俺も大人げなかったけど・・・。」残ってるビールを一気に飲み切る。

「裕太が会社で仕事しにくくならにように心配なのよ。もう、一人の体じゃないんだからね。」

サチ子は自分のお腹を愛おしそうにさすりながら言った。

「えっ、サチ子お前、もしかして、お腹に俺の子が・・・」

「ふふふ、そんなわけないでしょ。あなたの子種は、あなたと一緒で幽霊の私には触れないから、私を貫通してベットに飛んでってるでしょ。」

「そうやった。なんや、びっくりしたような、残念なような」

「ふ~ん、子供ができないのが残念やと思ってくれるのね。ありがとうね。裕太」

「えへへっ、今日は愚痴をいっぱい聞いてくれてありがとうな。ちょっとスッキリした。サチ子と一緒におれて幸せです。」

「もう、照れるでしょ。」サチ子のモジモジ。

「今朝の続きをしたい。今日は、いっぱいしてほしい。」

「は~い。今日は一日頑張ったから、ご褒美にいっぱいいじめてあげるね。」

「いじめるって、俺はMちゃうで。俺が幽霊のサチ子に触れないから、『いっぱいしてほしい。』って言うただけやで。そんな意味とちゃうで。」

「はいはい。分かりました。いっぱいしてあげるね。」

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