幽霊サチ子と俺の肌寝物語
だいち
第1話 邪魔なリュックサック
「おはよう。裕太」トイレに行く俺に朝から元気な挨拶をしてきたこいつは、サチ子。「今日もいい天気よ。まずは、太陽の光を浴びて今日のスタートを良きものにしよう。」
「わかったから、先にトイレに行かせてくれ」トイレに駆け込む。
「もう、朝からドタバタと。もう少し、昨晩の甘い余韻を楽しめないのかしら。」
「ふう、スッキリした。サチ子、おはよう。」とトイレから出た俺はサチ子のお尻を触りながら朝の挨拶。
「もう、裕太ったら、朝からエッチなんだから。」サチ子が照れながらモジモジ。
「何言うてんねん。お尻を触ったフリをしただけやろ。」
まだ、モジモジしているサチ子に対して
「俺は生きてる人間。サチ子は幽霊。幽霊のサチ子が俺に触れられても、俺はサチ子には触れられへんの。」
「でも、朝から私の体に興味を持ってくれてうれしいのです。」まだ照れてる。
「あ~、そうかい」(こっちは、興味があっても触れられないから欲求だけが溜まんねんけどな・・・)
「裕太、朝ご飯はどうする?」俺のパジャマを脱がせながら聞いてくる。
「時間がないから、駅前のコンビニでパンでも買うわ。」
「菓子パンではなく、サンドイッチとかにしてね。」次にパジャマの下を脱がせる時にパンツも一緒におろしてくる。
「こら、パンツまで下すな。」
「こっちにも朝の挨拶しなきゃ」既に、口に咥えて、右手は下からサワサワ、左手は上下に、器用に違う動きで快感を与えてくれる。
「こっちはええって、会社行かれへんようになるやろ。」
聞こえてるのに聞こえない振りして、舌使いも加わる。
「あかんって、そんなにされたら、今日一日サチ子が頭からはなれへんようになる。」
上目遣いにこっちを見たサチ子が、ニヤリとしたかと思ったら、一気に加速した。
「う~、ダメ。」俺の子種が廊下に飛び散る。
「ウフフフ、気持ちよかった? これで裕太は今日一日私のことだけ考えてね。」(出勤前はこの言葉は禁句にしよう。朝から抜かれてしまう。)
やっと賢者さんもどこかに行って、半分脱がされたパンツを戻しながら「ワイシャツ取ってくれ」
「ん?ワイシャツ?取れないの~」少し寂しげ。
そうなんだ、サチ子は幽霊なので、普通の物体には触れない。触れるのは、一部の人間の体とその人間が身に着けている又は触れているものだけ。だから、ハンガーに掛かっているワイシャツには触れない。
「は~い。自分で取りますよ。」ワイシャツを取って、両袖を通す。「着せてくれ。」
「喜んで♡」袖を通したことで俺がワイシャツに触れているので、サチ子はワイシャツに触れる。
「ズボンは自分で履くからええで。ワイシャツのボタンだけ止めてくれ、その後はネクタイな」ネクタイを首にかけながら、ズボンを履く。
「もう、甘えん坊さんなんだから。でも、ネクタイを結んでるの好き、新婚さんみたい」
「そうやな。昭和の新婚さんやな。」
「昭和って余計よ。今は令和です。」サチ子は少し怒りながら、ネクタイをきつく締めあげる。まさに昭和。
「痛い、痛い。行ってくるわ。」上着を着ながらカバンを持って玄関へ向かう。
1DKのマンション、玄関までは数歩の距離。サチ子が後ろをついてきながら、上着の襟を直す。
「気を付けてね。」
「じゃ、いってきます。」
「は~い。いってらっしゃい。」
おれは、サチ子に手を振りながら、玄関から飛び出して行った。
今日も駅のホームはなかなかの混雑ぶり。この時間は大半が社会人の会社勤めの人。
(今日は隣のドアから乗ってみるか、昨日はハゲおやじがずっとこっちを見てたからな。場所かえよ。)
(この列は、男性が多いな。痴漢に間違われないから安心、安心)
電車が入線。ドアが開く。乗り込む流れにうまく乗って、電車に乗り込む。
後ろから、リュックサックを盾代わりにしたサラリーマンが押してくる。押してくる。押してくる。
(なんやねん。このリュックサックは。前にしたからって邪魔やねん。)
(う~苦しい)
「サチ子、ただいま。」
「おかえり~、裕太」サチ子がエプロン姿で出てくる。
「今日もエプロン姿、俺の好み抜群やな。」
「そう、可愛い?」デレデレと照れている。「ご飯は?」
「うん。ビールと少しのつまみを買ってきた。」買ったものをテーブルに置く。「サチ子も飲むやろ」
「うん。味見だけね。」
「先にシャワー入ってくるわ。一緒に入るか?」服を脱がせてくれているサチ子に聞く。
「恥ずかしいから入りません。」上着、ワイシャツ、ズボン、パンツ、全部脱がせてくれる。「片づけはお願いね。」
「そうやな、脱いだら持たれへんねんな。でも、たまに持ててるやん。」素っ裸でスーツをハンガーにかけながら聞く。
「あ~、あれは、その日一日の裕太の念っていうか気持ちが強かったときには少し摘まめる。少し摘まんで頑張ってハンガーに掛ける。」眉間にしわを寄せて、ジェスチャーで再現している。「今日は、摘まめそうだったけどやっぱり無理。」
「早く入ってきて。いっぱいお話しましょ。」
「上がったで~。」パンツとシャツだけを着て、ソファーに座る。「ふ~、疲れた」
部屋には4本足の丸いテーブルと小さいソファー。それとシングルベットがベランダの窓にへばりついている。
4本足の丸いテーブルはサチ子の趣味やけど、どちらかと言えば昭和のちゃぶ台って感じ。言ったら怒られるけど。
小さいソファーは俺がベットでダラダラするのが嫌やから1DKには邪魔やけど買ったやつ。
ベランダに洗濯物を干すのは休みの日くらいなので、窓にベットがへばりついていても大丈夫。それよりもベットの中で朝日を浴びて目覚めたいっていうサチ子の希望でへばりついている。幽霊が朝日ってなんやろか。
「スッキリした?」パジャマ姿のサチ子がやってきてテーブルの横にちょこんと座る。
「パジャマに着替えたんや。幽霊は便利やな。服装も自由自在で。」
「うん。いいでしょ。で、今日は何かいいことあった?」
「いいことってゆうよりも、今日は電車の中でのリュックサックの話。」買ってきたつまみのたこわさを開けながら「もう少し、廻りに気い使ってくれたらええのに。」
「どうしたの?リュックサックって、朝から遠足の小学生でもいたの?」
「ちゃうちゃう、会社員の人たちの話」たこわさを一つつまむ。ビールを開けて一口(う~うまい)
「今日は、会社員の人も遠足???」サチ子の頭は『?』がいっぱい。
「ちゃうって。会社への通勤にリュックサックを使うてるねん。」
「会社員の中でリュックサックで通勤してる人がいるの?」
「そうやねん。だいたい6~7割くらいはリュックサックやな」二つ目のたこわさ。ビールを二口。
「え~、うそ~。信じられない。会社員の人って手さげのバックじゃないの。あの、可愛くない黒いやつ。」
「そうそう、昭和の感覚ならそうやんな。手さげのバックで肩に下げる紐がついてるやつな。」
「え~。会社員の人がリュックサックってカッコ悪い。恥ずかしくないのかな?」
「うん。最近はお洒落なやつも出てきたから、そんなにカッコ悪いと思ってないんちゃうかな。」
「お客様の所に行くときはどうするの?バック変えるの?」
「いいや、そのままリュックサックで来ははるよ。俺はなんかいややけど。」
「ふ~ん、えらくゆるくなったのね。それで、リュックサックを持った人がどうしたの?」
「うん。リュックサックを後ろに背負ったままだと廻りの人に邪魔になるやろ。」
「なんで、邪魔になるの?」
「え~っと、後ろに背負ったリュックサックが誰に当っても、邪魔しても、背負っている人はリュックサックが見えへんし、迷惑が掛かっている人は自分の背後だから見えへんねん。それに、人が回転するときの回転軸は胸の前の位置くらいやねんて、だから、背負ってるリュックサックは回転半径が大きくて、向きを変えるごとにブンブン振り回すことになんねん。それで、迷惑が掛かってしまう。」
「確かに邪魔かも」
「それで、前に抱えましょうってなってんけど、これが、また邪魔やねん。」
「前ならいいんじゃないの?見えてるから気を使ってくれそうだよ。」
「それがや、前に抱えてるからいいでしょみたいな感じで、気遣いがないねん。」最後のたこわさを食べながら「電車に乗るときは盾代わりにして無理に押してくるし、リュックサックの上でスマホは見るし、その時の肘や手がはみ出して場所をとるしね。」
「なんか、リュックサック前にしても後ろにしても邪魔なのね。」
「うん。それで、今はリュックサックは手に持つか網棚に上げましょうってなってんねん。」イカ天も開ける。
「それなら邪魔にはならないね。」
「でも、それは中々浸透してへんみたい。リュックサックって背負うと楽だから荷物をいっぱい入れるから結構重たいねん。それを手に持つのは重たいし、さらに手に持って満員電車に乗るのは大変やねん。」イカ天を一口。「また、網棚に乗せるにしても、貴重品とかを入れてるから手元から離すのは心配なんやろな。」
「で、結局、前にかかえるのね。」
「あっもう一個あったわ。前に抱えた時に重たいからバランスをとるのに上半身が後ろに仰け反るねん。そやから、後ろに立っていると、もたれられているような感じになるし、かえって場所もとるし。」
「へ~、大変だね。」
「会社員の人がリュックサックでもいいよって風潮になったのは別にどっちでもええんやけど、もう少し、気い使ってほしいなって思うねんな。」
「裕太はリュックサックにはしないんだ。」
「うん。恥ずかしいし、カッコ悪いし、邪魔やし。それにそんなに会社に荷物を持っていかへんから。」
「ふ~ん、そうか、今日も大変だったね。」いい子いい子してくれる。
「ありがとう。ビール飲む?」
「うん。味わう」
俺がビールを口に含んで、サチ子は俺の口の中に舌を入れてビールを舐める。ディープキスしているような感じだが、物に触れない幽霊が味わうには、俺が触れているビールになら触れれるというところを活かしたエッチな味わい方だ。もちろん提案したのは俺のほうやけど。
「う~ん。美味しい。ねえ、もっと欲しい。」
さらに、一口含んで口を開ける。
サチ子は私の頭を両サイドから手で挟み込んで、半開きの口に舌を入れてくる。
甘い吐息と、ピチャピチャとビールを舐める音をさせながら。
「ちょっと、まだ、服を脱がさんといて。この後、ユーチューブ見るんやから。」
「いいじゃん、もっと楽しいことしようよ。口の中のビール舐めながらキスしてたら、エッチになってきた。」
俺のパジャマを乱暴に脱がせながら、口から首筋、肩口、胸、乳首と順番にキスしながら舐められる。
エッチなことは好きだが、俺からは何も出来ない。
手を伸ばしても人間の俺は幽霊のサチ子に触れられない。なのにサチ子は俺に触れられる。
完全なる受け身状態。ちょっとMの俺にはこれはこれでたまらないのだが・・・。
最近、乳首廻りが『くすぐったい』から『気持ちいい』になってきた。
(やばい・・・、声が出そう・・・。)
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