最終回 ミヨちゃんは無双する
「久しぶりね、ケンちゃん。元気にしてたかしら?」
「こ、ここは……」
僕が目を覚ますと、かつてみたことのある、白い部屋の中だった。
「ここは転移の間じゃないですか!」
「ふふふ、そうよ。なつかしいでしょ?」
そう言って、女神アイナは笑った。
「どうしてここへ……」
僕は不思議に思ってそう言うと、女神アイナは答えてくれた。
「あなた、レイクリスから果物もらって食べたでしょ。ほら、ミヨちゃんがケーキにして食べさせたじゃない。あれはアースガルドの果物なの。つまり、あれを食べた事がトリガーとなってここへ呼び出されたのよ」
「これってつまり、今度の魔王討伐の勇者として、僕がアースガルドへ行くってことなんですか?」
「よくわかったわね!でも、あなただけじゃないわよ」
そう言うと女神アイナはパチリとウインクをして、僕の後ろを指さした。
女神アイナが指さす方向に顔を向けると、なんとミヨちゃんが横たわっているじゃないか。まだ、目を覚ましてないみたいだ。
パジャマ姿のミヨちゃんを見るのは始めてだ。割と小さめのパジャマが体に張り付いて、体のラインが出ていて、ちょっとエッチだった。僕は赤面した。
「あらあら、初心ね。赤くなっちゃって。……ミヨちゃんのことが好きなのね」
「そりゃそうですよ。僕は一途なんですから」
「ふふふ、それは良いことね。じゃあ、このまま二人でアースガルドへ行ってもらおうかしら?」
「え!二人が勇者って感じなんですか?」
「そうよ、一応、魔王討伐の旅になるから、危険なことも多いし、あなたがミヨちゃんを守ってあげるのよ」
そう言うと、女神アイナは掌を振って、宙へ円を描いた。
するとそこの空間に裂け目が出来て、中から白い光がこぼれてきた。
「あ!もしかして、これが、女神さまの言うきっかけ作りってやつですか!」
僕は叫んだ。
「ふふふ、そうなるかしら?魔王討伐……こういうのを吊り橋効果っていうのかしらね?二人で仲良くするのよ。ちゃんと、カッコいいとこ見せなきゃダメだからね」
そういうと、女神アイナはてのひらを振っていた。
白い光は僕とミヨちゃんを包んでいく。
僕は慌てて、眠っているミヨちゃんをお姫様だっこした。
「魔王討伐が吊り橋効果って、本気で言ってるんですかぁ!」
「あなたたちなら、大丈夫。あなたには勇者の力を。彼女にはアイリスの力を授けてあるから」
「あー、まってください!」
「じゃあ、行ってらっしゃい~!」
そうやって、僕とミヨちゃんは、光の中へ吸い込まれていった。
◆
あれから1か月。
僕はミヨちゃんとともに旅をしている。
それは、魔王討伐の旅だ。
ミヨちゃんは、目を覚ましたら異世界アースガルドだったので、とても驚いていた。だけど、僕が一緒にいることや、昔お兄さんがここで魔王を討伐したことなどを話すと、少しづつ落ち着いてきて、やがて魔王討伐に協力してくれることとなった。
それから、剣士のニコル、重戦士コンラッド、回復役のエミリーなど頼もしい仲間の協力を得て、5人で魔王討伐に向かったのだが……
「雷魔法:第三階梯 サンダーァ・ボルトォ!」
ミヨちゃんが魔法を放つと、敵の魔人もあっという間に倒されてしまう。
まさに無双。
……ミヨちゃんが強すぎて、出る幕がない!
僕は勇者として、いつカッコ良い所を見せればいいのだろうか。
この強さは、アイリスの強さそのものだ。
あの月ですらぶった斬る威力である。ただの魔人が勝てるはずがない。
ミヨちゃん自身、あまりにもの強さに驚いていた。
こうしてミヨちゃんの無双が続いて、パーティの誰もが出番を失った旅はまだまだ続く。
まあ、魔王軍幹部が出てくる頃には、少しは戦わせてくれるだろうか。
今後、僕が活躍して、ミヨちゃんにカッコいいところを見せる機会があることを期待しながら、今日もミヨちゃんの無双は続くのだった。
(終わり)
昨日何を食べやがった? 平ミノル @tairaminoru
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