第17話 暴かれた虚像

防音設備の整ったスタジオの一室で、美羽たちは衝撃的な光景を目の当たりにした。

そこは、まさに桜井楓の「虚像」が作られていた場所だった。

部屋の隅には、楓がSNSで投稿していた「#今日のコーデ」の背景と全く同じセットが組まれており、そこには、美羽が手がかりとした観葉植物が置かれていた。


床に散らばっていたのは、楓の直筆で書かれた契約書の断片と、彼女の心の叫びを表すかのような走り書きだった。

走り書きには、「もう無理」「逃げたい」「誰か助けて」といった言葉が殴り書きされており、彼女がインフルエンサーとしての重圧と、誹謗中傷にどれだけ苦しんでいたかが痛いほど伝わってきた。


健太は、スタジオ内の撮影機材やコンピューターを詳しく調べ始めた。

すると、楓の失踪後も更新されていたSNS投稿の動画や写真データが大量に保存されているのを発見した。

それらのデータは、事前に撮影されたものに、AIによる音声合成やディープフェイク技術が施されており、あたかも楓がリアルタイムで投稿しているかのように見せかけるための巧妙な加工が施されていた。


「これだ…!やっぱり、楓さんのアカウントは、失踪後に誰かによってなりすまされていたんだ。」美羽は、自分の推理が正しかったことを確信した。


五十嵐刑事は、スタジオの管理責任者である加藤陽介に事情聴取を行った。

加藤は、最初は技術提供は認めたものの、楓の失踪への直接的な関与は否定しようとした。

しかし、五十嵐刑事は、彼の会社の予約システムに残された匿名の長期予約と、小林沙織の供述、そしてスタジオ内に残された証拠品を突きつけると、加藤は顔色を変えた。

加藤は、特定の人物から依頼を受け、楓のなりすましアカウントの運用を請け負っていたことを認めた。

しかし、その依頼主の名前については、顧客情報保護を盾に、明かそうとはしなかった。


その時、スタジオのドアが開き、意外な人物が姿を現した。

それは、楓の熱狂的なフォロワーである田中誠だった。

彼は、美羽たちを見て、にやりと不気味な笑みを浮かべた。

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