第10話 発売、そして沢山の反響

 KADOKAWAファンタジア文庫より絶賛発売中のライトノベル「魔王は扇子で蕎麦を食う〜落語魔王与太噺〜」制作備忘録の続きです。


 ファンタジア文庫から話があってから約1年半、執筆を始めてから約1年ちょっと経った2025年の3月19日ついに吉好作のライトノベル「魔王が扇子で蕎麦を食う〜落語魔王与太噺〜」が発売された。

 1席の新作落語を書くのにかかる時間が1〜2ヶ月。その10倍近くの時間がかかっているので達成感は過去一番だ。

 実際に書店に並ぶのは開店時間の10時ごろだろう。発売当日はスケジュルを空けて秋葉原の店舗に並んでいるのを見に行こうと決めていた。

 ただそれも待ちきれず発売日になった0時00分にKindleで電子書籍を購入し本当に発売されていると実感した。もちろん著者なので事前に献本をいただいてはいるがあえて自腹での購入である(笑)


 朝になると早速書店で購入したと先輩、知人、友人から連絡があった。本当にありがたい。

 まずは浅草演芸ホールへ向かい売店におかせていただく。新宿、浅草の売店では販売していただき、池袋と上野広小路亭ではポスター掲示と寄席にも協力をいただいてるのだ。

 本文中に各寄席の名前を実名で登場させるためにクレジットさせていただき、落語芸術協会にも協力という形でクレジットさせていただいた。

それだけでなく落語芸術協会の会長である春風亭昇太師匠に帯の推薦文を書いていただいた。

 詳しくは実際に確認していただきたいのですが本文を実際に読んでいただき大変に誉めていただいた。光栄です。昇太師匠の帯コメントが付いたライトノベルは本書だけである(笑)


 話を戻そう。浅草の売店に置かせていただくついでに楽屋に顔を出すと何人かの先輩が本書を買ってくださった。ありがとうございます!

 そのまま秋葉原へ移動しアニメイト、ゲーマーズ、メロンブックスなどを覗き本書が並べられているのを確認。名だたる売れっ子ライトノベルと同じ並びにある事に感動した。

 しかも少し減っているということは既に買われている方もいるということだ。

 自分は同日に発売のスレイヤーズを購入。そう、スレイヤーズの新刊と同じ発売日なのだ。これは一生自慢できる!


 ひとしきり秋葉原を散策してから帰宅。気になるのは読者の皆さまの感想だ。はたして楽しんでいただけるのだろうか、、、

 そんなにすぐに読み終わるわけもないのだが当日夕方から何度も作品名でエゴサをかけて感想を探した。

 夜になったところでポツポツと感想コメントをみつけることができた。


 最初期に読んでくださったのはライトノベル愛読家の皆様。その月の新刊はほぼほぼ読まれていたり、落語ものという珍しさから手にとってくれたかもしれない。

 本職の作家ではない落語家によるライトノベルを果たして受け入れてくれるか心配だったが……


「面白かった! 落語を知らなくても内容が入ってきた」「真打昇進まで見届けたい!」「次はどうなるかが楽しみ!」「ラノベ初心者にもおすすめできる!」


 など殆どが好意的な感想でホッとしました。中でも共通してあった感想が「寄席の楽屋のリアリティが素晴らしい」と評価していただけた事だ。

 これは書く上で一番大事にしていた点。僕が他の作家さんに勝っている点はただ一つ。本職の落語家であること。文章力が足りない分は実際の修行経験を活かしたリアリティで勝負するしかないと思っていました。


 また落語の場面の迫力も評価していただけました。これは上記のように実際の経験と、ライトノベルらしいケレン味を合わせたそれこそ僕にしか書けない描写になっていたと思います。そこが評価してもらえたのは嬉しかったです。


 ストーリーとしては落語を抜かせば王道。いきなり気を衒った事はできませんからライトノベルによくある展開に落語を当てはめて構成しました。そこを古臭く感じないかなと思いましたが「一周回って新しい」みたいな意見もあってよかったです。落語そのものが古風なイメージですから王道で良かったかもしれません。


 発売週の週末には都内にて発売記念の落語会とパーティーも開催しました。執筆裏話トークや作中名場面で出てくる「たがや」を高座にかけたり、ゲストの志ら乃兄さんの高座やトークなど盛りだくさんの落語会後にお馴染み様を集めての記念パーティー。

 殆どの方がすでに読んでくださっていて生の感想が聞けたのが嬉しかったです。あのキャラを次巻では活躍させてくれとか、あのキャラが一番萌えたなどヲタクならではの感想も。

 キャラ人気としてはメインのヨタやハチはもちろんのこと、楽三師匠ときら星の師弟やマ魔王さんが人気でしたね。この辺のキャラは次巻が出たらもっと活躍予定です。


 東京だけでなく大阪、名古屋、仙台、岡山、鹿児島、熊本、小倉、博多と各地で記念の落語会をさせていただき、すでに本書を読まれてる方が来てくださったりその場で買ってくださったりした。

 全国各地で感想を聞くことができ殆どが好意的な意見だった。(落語会まで来てくださるくらいだから当たり前だが)


 そしてラノオンアワードというライトノベルの賞レースでも新作部門、新作総合部門の2部門で選出していただいた。

 落語家としては賞に縁がなかったのにまさかこんな形で賞をいただけるとは思わなかった。読んでくださった皆様のおかげです。


 楽屋でも沢山の先輩、後輩が読んでくださり感想を言ってくださった。特に師匠から「奇天烈な設定に戸惑ったけど読み進めるごとに引き込まれた。構成が完璧」とお褒めの言葉をいただいた。これが何より嬉しい。


 ライトノベルを出したお陰で沢山の新しい出会いや経験があった。そして自分の新たな可能性も見出せた。声をかけてくださったファンタジア文庫様には本当に感謝しています。


「魔王は扇子で蕎麦を食う」の続きはもちろんなのですが他にも新作を書いてみたいなといくつか構想中です。まずは短編からカクヨムにアップしていき徐々に長編も書いていこうと思います。


 もちろん落語家が本業なので新作落語を書くのが最優先ですが(笑)


 改めまして「魔王は扇子で蕎麦を食う」を読んでくださった皆様ありがとうございます。

 そしてこれから読まれる方にも少しでも楽しんでいただけますように。


 まだ色々とエピソードはありますが一旦この連載はここまで。次は短編小説でお会いしましょう。

 ここまで読んでくださりありがとうございました。

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ヲタク落語家がライトノベル作家デビューするまでの話 春風亭吉好 @yoshikou12

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