第3話 キャラ設定を作ってみた話

その3「キャラ設定を作ってみた」


 ひょんな事からKADOKAWAファンタジア文庫からライトノベル作家デビューさせていただける事になった。

 いきなり本文を書き始めるのではなくまずはプロット、つまりあらすじとキャラ設定から作る事になった。


 先日の顔合わせで出した設定は「異世界の美少女魔王がこちらの

世界に召喚されて前座修行する事になる」という点と、「主人公が10代設定なら真打はありえない。なら主人公は高校に通いながら前座修行している男子で、妹弟子の魔王の教育に四苦八苦する」という2点だ。ここは最後まで変わらなかった。


 まずはキャラクター設定に取り掛かった。キャラができれば自然と話も動くだろうと思った。


 主人公は前座だからいきなりチートで無双な感じにするのはリアリティがない。とあるトラウマがきっかけで力を発揮できないようにしようか。それで優しく面倒見が良くて割とモテる。


 魔王はやっぱりツンデレだな。ギャップが欲しいからちんちくりんな感じにしよう。異世界から来て古典落語ってのも変だから創作のセンスがあるとか……?

ドラえもんがどら焼きが好きみたいなわかりやすい特徴があるといいって担当さんが言ってたからアンコ好きにしよう。落語に饅頭怖いとかあるし。人並み外れた食欲があると見た目とのギャップで面白いかも。


 高校生の弟子と魔王の弟子を取ってくれる師匠はいわゆる厳しい人より飄々としてるイメージかな。それでいて東京の四天王に選ばれる名人とかギャップがあっていいかも。


 とメインの3人の設定はトントン拍子で決まっていった。

 メインが決まったら次は脇を固めるキャラたちだ。魅力的な脇役がいるからこそ主人公が引き立つ。

 最初に設定してからそのまま最終的に物語に登場したキャラもいるが、もちろん没になったキャラもいる。


 そのうちの一人が「ヲタク」だ。性格もヲタクならあだ名がヲタク。メガネでヒョロガリ。げん○けんの斑○みたいなイメージのザ・ヲタク。主人公の友人設定で考えたキャラで女流落語家ヲタクだ。


 こんなヲタクキャラを出したのには一つの欲があった。

 ライトノベルがヒットしたらその先にあるのはアニメ化だ。デビュー作でそんな事になるわけが……いや、万が一、億が一にあるかもしれない。

 アニメ化したら声優さんがキャスティングされる。僕は声優さんと何度もお仕事しているからプロ声優さんの半端ない演技力は知っている。

 だから僕が原作者特権で役をいただく……なんて考えてはいけない。

 けれども、モブに近いキャラなら、ヲタクキャラならいいかもしれない!とアニメ化どころかまだ作品が何も出来上がってない時にそんなアホな事を考えてヲタクキャラを忍ばせたのだ。


「うーん、こういうテンプレ的なヲタクキャラって今はウケないんですよね。削りましょう」


 あはれ「ヲタク」は担当さんの鶴の一言でキャラごと消える事になりました。吉好の秘めた野望と共に(笑)

 ヲタク要素は一部主人公に統合する事になりました。結果的にはそれで全然良かったと思っています。

 話ができる前にアニメ化なんて夢を見てはいけない(笑)


 そしてストーリー作りにおいても最近のライトノベルの流行りというものと戦っていく事になる……


続く

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