古ぼけた回顧録から立ち昇る記憶は

@IYR

10首連作

ラムネのビー玉だから僕の目は 君を透かして夏を見ていた


ひとつだけ嘘を赦した今日はもう月とふたりで遊んでいたい


本音などとっくにゴミ箱へ捨てたつもりが君の前で漁ってる


コンビニのレジ袋カサカサと0時の横断歩道でくしゃみ


エレベーター階数ボタンを押す指はもう君に触れた気になっている


リネンの皺に残る微熱 夢の構造に似た構文は雄弁


会話の温度差を感じて炭酸水は確かに喉で弾けた


意味も目的も削られた電子音 感情らしきものを模倣


小数点以下切り捨てられる数値のようだ今の僕の温度


バス停で沈黙だけが先に来て声にならない言葉と同乗

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