第6話 気候を制するモノは

アア、アアァ、暑いぃ。


うーん、

暑くて腹の脂肪からバターできそうや。

ビール、ビール。

おタケさん、キンキンをお願い。


「ジメジメしてたと思ったら、

 真夏みたいな天気になってさ。

          ついてけないわヨォ。」

と、おタケさんも。

五分刈りの頭にうっすらと汗が滲んでおる。

ビールを差し出しながら、おタケさん

「今日の昼間、救急車来ててね。

     お爺さんが運ばれていったの。」

と教えてくれた。


なるよね、この暑さじゃ熱中症。

家の中でも危険。

「うちのお客さんでもさ、

      クーラー嫌がる人いてね。」


年寄りのエアコン嫌い

風が当たって寒いっていうけどさ、スイング機能にしたらいいし。

足元だけ靴下なりレッグウォーマーなり履いときゃええのにと思うのは、私の心の狭さか。

患者さんでも、布団きっちり首までかけて寝てる人いる。


 認知症の人は、そもそも暑い寒いが鈍感になるから。そういう患者さんには、申し訳ないが、こちらでエアコン調節させてもらってる。こっちは半袖スクラブでも暑いのに、暖房つけてって言われた事もあって、点けましたって答えてドライにしといた。


「確かに雨降って冷えてはいたけど、暖房はないだろ。北海道じゃなし。」

おタケさんも、

「四季なんてなくなってるからね。

             亜熱帯よ。」


 雨季と乾季しかなくなるんじゃないのかな、日本も。昔は、長袖のシャツを着る機会が、それなりにあったけれど、今は半袖の出番のほうが多い。

サラリーマン方は長袖シャツ着るだろうけど、私みたいな制服あって、通勤着は何着てもいい職種はジーンズとTシャツばかしです。


 天気予報って、お金になるみたい。天気や気候が関係するのは、農業漁業もだが、航海とか土日のイベントとかも気候に左右される。

今から半年後や1年先の天気予報なんて判んのかいな?不思議な話やけど、性能の良いスーパーコンピューターなり、気象情報の過去データの蓄積が多いほど可能になるそうな。


 気候と恋愛、営業とかの法則とかも出てきたりして。気候が25度から28度が一番商談がまとまりやすい、とか。35度以上の日は、お互い頭がぼーっとしているからまとまりにくそうや。恋愛も、15度以下の寒い日にデートすると、お互い冷静になるからカップリングしにくいとかさ。


 気候というと、台風の日に必ず頭痛がするっていうスタッフさんいるのよ。あと、喘息持ちの人も、季節の変わり目咳が酷くて早退したり。


私なんて、40代になってから、今日は絶好調やぁと思える日がない。

「アライちゃん、それは更年期よ。」

おタケさん、的をついてくる。

そうか、そうだな。


 冷たいビールが大好きな私の体を気遣って、おタケさんほうれん草のお浸しを出してくれた。ほうれん草頂いて、気候に負けない英気を養うわ。

 みなさんも、そう感じませんか?気候を制するモノは人生を制するって(アライの格言)。あながち間違いじゃない気がするな。

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