眼鏡の真相

コント・リビュート

眼鏡の真相

意味もなく、眼鏡を分解するのが趣味の男が、家のベランダから見えた。

彼の目に眼鏡がかけられてあるが、別の眼鏡をドライバー等の工具を用いて丁寧に触れ始めた。その様子は窓からよく見えた。様子を見始めた頃は修理でもしているのかと思っていた。

六年たった今、修理は終えていない。 というか、分解して直す工程を繰り返しているだけ、つまり、遊んでいるだけだという事をつい最近確信した。

男の遊びは単純であった。毎日同じ時間帯に同じ工程を踏んで分解し、直していく。

いつもポロシャツを着ていル誠実そうな男。そんな男が6年以上意味もなく全く同じ工程で作業していたらしい。


私は運命的な出会いをした。

酣春、地方から都会に遊びに来ていた私は花見スポットの公園にいた。地元の圧力からの解放や都会の新鮮な空気に酔いしれていた。

日も暮れ始め、ホテルの帰ろうとした時、声がかかった。慇懃な態度で声をかけたのは、メガネをかけたポロシャツの男。落としていたハンカチを拾ってくれていた。ハンカチを手渡されると、手が触れた。一瞬で胸が高揚し、熱い物が込み上げてくる。一目惚れをした。思わず即刻、連絡先を聞いてしまった。男は申し訳なさそうに、妻に女性との連絡の交換を止められてる旨を話し、それではと言って去っていった。すると行先に妻がいて一緒に公園を後にした。私は深い絶望に苛まれる。次の日も同じ公園で彼に対し思いを巡らせていた。するとまた、男と妻が来て、小学生ぐらいの子供も連れていた。

恨めしさを噛み締めながらある言葉がよぎり始めた。

「殺す」

すると頭中にその言葉を巡らせ決心する。妻と子を殺す。私は彼との子を欲していた。

妻と子供の行動を観察するようになった。もちろん家も分かる。平日、彼は早朝仕事に出かけ、その後、子が学校へ出かける。妻は主婦で一日中家にいる。狙うなら彼が出かけた後だ。私は包丁を持ち、彼が出かけた後に急いで家に入り一人ずつ掻き切り、2人とも声を出せずに死んだ。

私は彼の家の近くのマンションを賃借りしたベランダから彼を覗いた。彼は意味もなく娘のメガネをいじって遊んでいる。正直その様子を見るだけで誠実さを伺えて興奮する。殺してから7年、今年もまだ機を熟し、待っている。彼との幸せな日々を...


「僕の姉には、貴方が遊んでいる様にしか見えてないのです。貴方がまだ亡き妻子を思っていると言う事を見逃したかったのでしょう。そういう風に僕も聞かされてました。ですが、貴方が悲しみに暮れながら娘さんの眼鏡の手入れをしていたと聞いて、気の毒に思いました。」

そう言った弟は、男に対して謝意を表した。

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