第28話「ログハウスでの波乱:システィアの登場と姉妹の再会」
魔物の森の道中。
リューコ、ツキノ、システィが談笑しながら楽しげに帰り道を進行。
特に何事も無く、ログハウスへと帰宅。
「ただいまー」
リューコが玄関から声を上げる。
人気無くいぬこ達もまだ帰ってきていない。
「まだ帰ってきてないんですね。」
うさみみをぺたんと下げ少し残念がるツキノ。
「お昼だって言うのにどこほっつき歩いてるのかしらね?」
リューコが不機嫌そうに呟きながらテーブルに持ち帰った荷物を置く。
システィはソファにちょこんと座り安堵の息をついていた。
「システィ。疲れたの?」
「ううん。大丈夫よ。楽しかったから反動で疲れちゃった感じよ。」
首を横に振りながら心配するリューコに笑顔で言葉を返すシスティ。
リューコはそれを聞いて安心。
「そう。でも、振り回しちゃったのは事実だし。少し反省しないとね。」
「反省することなんてないのに。」
「そうですよ!リューコはボク達のために付き合ってくれたんですから!」
「ありがとう。2人とも。」
微笑ましい友情が築かれていたその時。
ログハウスの玄関を叩く音がなる。
コンコン。
「すみませーん!」
若い女の子の声が玄関越しに聞こえる。
一同が顔を見合わせ。
ツキノが反応。
玄関に向かい扉を開ける。
「はいはーい。今、開けまーす。」
扉を開けるとその場に居たのは、天使だった。
透き通るような銀髪、背丈はリューコより少し高めで顔立ちは幼く、胸は控えめ、綺麗で真っ白な翼、頭には白と黒の王冠のようなもの、瞳の色はシスティと同じくオッドアイ。
「あの!ここに…システィ姉様いますか?!」
新たな訪問者が口にしたのは衝撃の一言だった。
一同が一瞬固まり、システィが一番動揺している。
女の子は玄関を強引に突破すると周囲を物色しだす。
女の子が視線にシスティが入る。
目と目が合わさり、女の子が目を輝かせる。
まるでお宝を見つけた時のように飛びついた。
「姉様ぁぁあああっ!!!」
「きゃあああっ!!?」
リューコとツキノが静観。
システィが対話を求めるべく興奮する女の子を肩をつかみ引き剥がす。
「ちょっと!待ってよ!あなた…誰なの?!」
その問いに女の子がハッとした様子で落ち着きを取り戻す。
「……あ、えと。すみません…。姉様。私は惑星ゼウスより転移というべきでしょうか…。」
「…惑星…ゼウスって…あなた…。」
「はい。私は姉様の次世代機。神が生み出した創造物第二世代その名はシスティア。私は神と戦い敗れましたがギリギリのところで救われ、そいつにより私は此処へ転移させられました。」
「つまり…協力者。」
「ご明察です。姉様。」
「…………システィアだったかしら。」
「はい。姉様!」
「……あなたはどうして…神に逆らったの?」
「簡単です。気に入らなかったからです。」
「え!?そんなあっさり!?」
「はい!それに…神が話してたんです。姉様の事。」
「…………あいつが。私を…。」
「ただ。言い方が気に入らなかったんです。だから私キレたんです。ムカついたんです。殺意が怒りが心の底からマグマのように噴き出たんです。」
「なんて言ってたの?あいつ。」
「思い出したくも無いし口に出したくもありません。せっかく姉様に会えたのに気分を悪くしたくないですし。」
しばらくの沈黙の中でツキノが切り出す。
「2人は姉妹なのですか??」
それに対してシスティアが癖毛を器用に反応させる。
ぴょんぴょんとまるで犬の尻尾のように跳ねる。
「はい!もちろん!血の繋がりこそありませんが!私は姉様がだいだいだああああいすきです!!」
「…………。」
システィは何も言わず目を泳がせていた。
システィアがシスティの頭を両手で掴み至近距離で見つめ合う。
「姉様?」
「っ!!?」
思わずシスティの顔が真っ赤に染まりシスティアを振りほどいて自室へ走り去って行く。
「待って!姉様!」
後を追う様にシスティアが立ち上がるがリューコがシスティアの手を掴む。
「!?な、なんですか…?何かようですか?私、姉様以外興味無いんですが…」
「私も、そんなつもりは1ミリもないけど、少し落ち着きなさい。」
不機嫌そうなシスティアと同じく不機嫌そうなリューコの視線が飛び交う。
数秒の沈黙の後システィアが動きを止める。
「…すみませんでした。」
「ものわかりがいいのは素敵よ。…でも、なんでそんなにシスティの事が好きなの?」
「……好き…だからです。理由はわからないです。」
「そう。まぁ…とりあえず。システィが落ち着くまで私と話に付き合ってくれない?」
「え?いやですが?」
「なっ…!?」
迷いの無い表情でリューコに言葉を返すシスティアに苛立ちを覚えわなわなと体を震わせるリューコ。
「アンタ…気に入らないわ。」
「最初から言ってるじゃないですか。私、姉様にしか興味ないんですってば。」
悪びれも無いのはリューコにも十分伝わっていた。
それゆえに余計に怒りの矛先をどこに向ければいいかと耐えている。
「…………。そんなにイライラしてるのであれば、私が相手しましょうか?」
リューコを何処か見下したような態度。
それが、リューコの機嫌をさらに損ねた。
「……上等よ。一度わからせないとこっちの気がすまないわ。」
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