第1章 2話 嫌いな男
柿谷早稲は仕事が終わって彼氏に訊いてくれたらしい。今日、会うかどうかを。すると、今日は彼氏の方も用事があるらしいので私と遊べるようだ。よかった。これで遊べなかったら気持ちのやり場に困っていたと思う。私は彼氏にフラれてまだ未練がある。急にフラれたんだから無理もないだろう。
私は早稲にLINEを送った。仕事はすでに終えていて私は家にいた。
<今日、何時頃から遊ぶ?>
LINEはすぐにきた。
<7時からにしない?>
私もすぐにLINEを送った。
<わかった、7時ね。その頃、迎えに行くから>
私や早稲の勤務時間は、9時~18時まで。休憩は1時間ある。私は吸わないが早稲は煙草を吸う。だから、私の車の中は彼女の煙草の臭いがする。吸わないで、とも言いずらいし。言って嫌われたくないし。私の数少ない友人の一人だから。高校生のころ、嫌いな男子がいた。なぜ、嫌いかというと私の容姿について言ってくるから。私は決して痩せているとは言えない。どちらかと言えば太っている方。今でもその体型は変わっていない。その男子とこの前、ばったり街で出くわした。私は嫌な気持ちがわいてきた。どうか私だと気付かないで! と強く思った。でも、その思いは叶わなかった。こちらに近付いてきて、
「よう! 山内。久しぶり。相変わらず太ってるな」
そう言って、ゲラゲラ笑っていた。私は悲しくなった。それと共に傷ついた。
「酷いよ!
「お前をからかうのが面白いんだ。なんなら抱いてやってもいいんだぞ」
そう言われ頭にきた。
「ふざけたこと言わないで! 誰があんたなんかに抱かれるっていうのよ」
すると杉田くんは言った。
「ほー、怖いねえー。お前も言うようになったなー」
私は彼を睨んだ。
「そう言われたくないなら、痩せたらどうだ」
私は思わず泣いてしまった。
「相変わらず泣き虫だな、お前は。もっと強くなれよ」
そう言って杉田くんは去って行った。私はヒックヒックと嗚咽を漏らした。こんな姿を周りの人に見られたくないので近くにあるコンビニのトイレに入った。そこで気分が落ち着くのを待った。 このような酷い出来事があった。両親に言ったらきっと怒るだろうし、大ごとにしたくない。だから、私が我慢すればいいだけのこと。それに、太っている私が悪いのだろう。
私はこの出来事を高校の頃の同級生に打ち明けることにした。
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