夏の昼の日

夢飲 揺眼

夏の昼の日

こと細やかに 風がふく

さらさら さららと 風がふく

夏降る熱は 地を焼いて

こと細やかに 風がふく


小鳥はぴよひよ木に止まり

猫は石垣の上をゆく

人は小洒落たスーツを羽織り

せっせとせっせと道をゆく


ああ、なんでもない夏の昼の日

なんでもない、かすかな日の


履いたサンダル ぱたぱたさせて、

ラムネの輪郭 ぽたぽた滴り

祭りの金魚が ぴちゃりと跳ねた


ああ、なんでもない夏の昼の日

なんでもない、かすかな日の陽


おーい、とどこかの父は呼んで、

いま行くよ、とどこかの子は応じた


なんでもない、夏の昼の日

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夏の昼の日 夢飲 揺眼 @Yumenoma_Tayume

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